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2016年09月20日21:36

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都響第815回B定期

先日のユサ君のリサイタルのとき、開演前のロビーでSIRANOdeASAIさんに
お会いして1枚のCDをいただきました
それは昭和48年の畑中先生によるブラームス作曲「運命の歌」初回練習風景の
歴史的録音だったのですが、練習内容については別の機会に譲るとして、先生は
ちょうどその当時二期会により初演される予定だったショスタコーヴィチのオペラ
「カテリーナ・イズマイロヴァ」について語っておられました
このオペラがショスタコーヴィチ25歳の力作であることと併せて「だけど
僕(畑中先生)は正直言ってショスタコーヴィチはあまり好きじゃない
シンフォニーも5番より以降、特に最近の14番、15番は気が狂ったとしか思えない、
才能ないんじゃないかな」との言葉が記録されており、にんまりしてしまいました

ワタシはこの発言に記憶があり、その記憶に誤りはなかったということ、そして
畑中先生もショスタコがお好みではなかったんだな、という二重のにんまり

さてその「5番以降」でも気が狂っているまでは行ってない8番が本日の
インバル指揮/都響定期のメインプログラムでした

カップリングは、今や巨匠となったオーギュスタン・デュメイをソロに迎えて
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番
インバルは6年前の11月の定期でもブルックナーの6番と併せてこの曲を
演奏していて、そのときの日記にも書きましたが終楽章のロンドに突然現れる
民謡風のメロディが実に楽しくて、本日の公演プログラムの解説によると、
このメロディはモーツァルトの作ではなく当時流行っていた舞曲らしいです
その舞曲のタイトルを取って「シュトラスブルク協奏曲」と呼ばれています

デュメイは実にエレガントにこの曲を演奏し、この後のショスタコ8番の
口直しが先に来てしまった感じ(笑)
3度カーテンコールに応えての登場はインバルと共に挨拶して、4度目に
一人で現れると聴衆の期待が高まって拍手がひときわ大きくなって、
しかしソリスト・アンコールはありませんでした(肩透かし)

さて、休憩を挟んでメインのタコ8は聞いたことがあるやら記憶にない
デ・プリーストが常任時代には、さかんにショスタコがプログラムに
登場していたので、多分演奏されているのだろうけれど、記憶にない

7番が「レニングラード」と呼ばれるように、この8番は「スターリングラード」と
呼ばれているらしいのは、第2次大戦中「スターリングラード攻防戦」の
直後に作曲されたためです
Wikiによると、この戦いは独(及び枢軸国)軍とソ連赤軍合わせて2百万人
以上の死傷者を出す悲惨なものだったそうです

そのためでしょうか、タコ8も戦勝気分を祝うというようなものではなく
冒頭の重苦しいコントラバスとチェロのユニゾンに始まって、ワタシの
苦手な気の滅入る音楽が「これでもか これでもか」
この冒頭の音楽を聞いて気づいたら、オケの配置はチェロが上手側に
位置する「ストコフスキー・シフト」でした(重苦しさ倍増効果)

ショスタコーヴィチ自身はこの曲を戦争の描写音楽ではない、と語った
そうですが、大太鼓とティンパニの壮大なドラムロールはあるわ、金管が
暴力的に咆哮するわ、どうしたって戦争気分です
絶対音楽として聞こうと思っても無理ですし、ショスタコの言葉にあるような
「楽観的で人生肯定的な」作品とはとても思えません

「インバル80歳記念/都響デビュー25周年記念」という演奏会だったのですが
客席は満席とは言えず、空席が目立ちました
折しも台風が直撃するという悪天候のせいか、曲のせいか(両方だろうな)
予定演奏時間65分のところ58分で(楽章間はほとんどがアタッカで繋ぐ)
収めて、80歳とは思えないドライヴ感でした

まぁ、面白い音楽ではありましたけれど…
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