mixiユーザー(id:184624)

2016年09月15日14:21

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からゆきさん

しばらく入手不可能だった森崎和江の「からゆきさん」が復刊したので買ってみた。
からゆき とは かつて日本で海外に出稼ぎに行く女性を指す言葉だった。出稼ぎといいつつも実際は女郎として売られて行っていた。

この種の著作では有名な「サンダカン8番娼館」同様、もと「からゆきさん」の聞き取りと当時の新聞記事などの調査がもとになっているが、こちらは若干散文的でもある。

九州だと天草出身が多いらしいが、明治の開国以後、多くの女性が不正規に海を渡って女郎として海外で働いていた。行先は朝鮮、中国はもとより、シンガポール、フィリピン、インド、ロシアなど。
北米にも日本人娼婦はいた。この本では大きく取り上げられていないが。

最初から娼婦を目指して海を渡ったわけではなく、「いい仕事があるから」と周旋屋に騙されて連れてこられた娘、表立って人身売買できないので、斡旋人の養女として海を渡った娘。

日本が貧しかった時代の物語である。

同じことは現在の欧州でも起こっており、「いい仕事があるから」と斡旋人に無認可の売春宿に連れ込まれて働かされる東欧の女性達や、誘拐されて中国その他に嫁として売られる少数民族のアジア人などもまだまだたくさんいる。

翻って日本では、一応、戦後に「食うや食わず」を脱してはいたのもつかの間、貧困にあえぐ人が増えている。風俗で働かざるを得ない人もいる。ひと昔前は風俗で働くというのはよほどの事情がある人が大部分だったが、現在は学校を卒業して普通に就職するよりも割がいいと、参入する女性が多いらしい。豊かなのか貧しいのかよくわからなくなってきている。

本書もそうだし、サンダカン8番娼館もそうだが、救いは、異国の地で意に沿わない仕事に携わりつつ、言葉を覚え、自分で商売を始めたたくましい女性達も多かったこと。

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