最近、ラジオでやたら「上を向いて歩こう」がかかる。
この曲は、日本の歌謡曲でビルボード1位になったことで
有名だが、
この曲、そんなにいい曲だろうか?
この曲で、いちばん引っかかるのはアレンジ、特に
和音進行である。
和声学で「連続五度」という禁則がある。
ドからソの音程を「五度」というのだが、この「五度」を
平行移動して、ドミソ→レファラとか、ドミソ→ソシレという進行を
「連続五度」といって禁じているのである。
バッハとかモーツァルトとかベートーヴェンの音楽は
当然、この「連続五度」を避けて書かれているのはいうまでもない。
で、「上を向いて歩こう」のはじめの8小節の和声を見ると、
(上がメロディで、その下が和音。連続五度に×をつけてみた)
ドドレミドラソ ドドレミドラソ ドドレミ ミソラ ラソラソミレ
ドミソ ラドミ ドミソ ラドミ ドミソ ミソシ ラドミ ソシレ
× × × × ×
ドドドラレ レレドミ ドド−ラ ソミドラ ドド−
ドミソ レファラ ファラレ ミソシ ドミソ ファラド ミソシ レファラ ドミソ
× × × × × × ×
たった8小節の中に11回の連続五度である。
テストに例えると、赤ペンで真っ赤になって返ってくるレベルだ。
特に
「(涙が、こぼ)れーないよう−−に」
での、ラドミ→ソシレ、と
その次の
「思い出すー」での
ドミソ→レファラは、ひどい。
センス、などの言い訳も、ここでは通用しないと思う。
「歌謡曲だから学問通りでなくても」というかもしれない。
しかし、いくら歌謡曲でも、これほどひどいのは
滅多にないのではないか?
ドミソひとつとってみても、ドミソ(基本形)、ミソド(第1転回型)
ソドミ(第2転回型)とあるのである。
3和音だけでなく、4和音(ソシレファなど)もある。
もちろん、不協和音も、条件付きで使える。
3和音や、4和音、不協和音などを上手に使うのが
上手なアレンジといえるのである。
3和音をひたすら平行移動するのは、下手なアレンジだと思う。
メロディも陳腐だし、この曲ぜんぜん良くないと思う。
なぜこの曲がビルボード1位になったか?
上を向いて歩こう ビルボード1位 1963年6月
1963年といえば、ビートルズのデビューアルバム
「Please please me」が出たばかりだし、
6月といえば「She loves you」はまだである。
ビートルズの人気が爆発する前なのだ。
なんか、タイミングが良かったような気がするのだが。
ビートルズ人気が爆発する前というと
はっきり言って、もう大昔の話だ。
それから50年たって、いい曲がたくさん生まれたのだから
「上を向いて〜」なんて、もう忘れてしまったほうが
良いのではないか?
そんな気がしてならない。
Sukiyaki - 上を向いて歩こう (Kyū Sakamoto, 坂本 九)
https://www.youtube.com/watch?v=bbH754gScuk
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