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2016年08月29日18:53

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ジェームス・サリスWillnotはサリスらしい!

ジェームス・サリスの新作Willnotを読んだ。
サリスの「ドライブ」(翻訳、ライアン・ゴズリンの映画)その続編Driven 、Killer is dying なんかとは一味違う、小説である。
小さな田舎のWillnotという町の郊外で、数人の死体が発見されるところから、この話は始まる。
町の開業医であり、外科医も兼ねる主人公ヘールと友人の教師リチャードが警察とともに、死体発掘に駆り出された。

そこへ、若い元海兵隊員だった狙撃手のボブが、ヘールのところへ現れたのだ。
彼は昔ヘールの患者だったので、挨拶に来たのだ。
しかし、すぐにFBI捜査官が彼を追って町に現れた。彼が何故ヘールのところに来たのかと尋ねるのだ。久しぶりにホームタウンに帰ってきたから主治医だったヘールのところへボブが来たのだと。
しばらくして海兵隊員だったボブが何者かスナイパーに撃たれて病院に運ばれてきたが、幸い助かった。ボブは治療が済むと何も言わずに姿を消したのだ。

町には、それも若い白人4人の死体が見つかったことで大騒ぎになって、過去の事件と現在の事件とが絡まり複雑になる。どうして、いつ頃殺され埋められたのか?
警察、FBI,それに末期症状の患者たちが登場してヘールの周囲でいろいろ動き出してくる。

ヘール医師もボブと同じように、昔子供の頃、昏睡状態になったことがあり、眠ると時々「昔と現在」の自分を見ることができるようになっている。それが物語を不思議なものにする。ヘールの昔の話がどうつながるのか。

いろんな事件、殺人も起こる。リチャードもヘール、ボブと一緒にいたため、スナイパーにボブと間違えて殺されかけるが、ヘールが助けた。ボブもその場から姿を消す事態も発生する。
そして犯人も誰かに殺されるのだが、スナイパー殺しは誰の仕業かはわからないまま終わる。
ただ、喉を切り裂くプロの殺し方だった。(この辺りがサリスらしい)

複雑な状況なのだが、サリスの「タッチ」は淡々とした筆致で話を進めるのである。
最後に複雑な事件が一つになるのだ。サリス独特の語り口は、行間に意味がある。
そんなに長編でもないが、不思議な気持ちで読んだ。


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