仔猫のルドルフはある日、飼い主を追いかけている途中で偶然トラックの荷台に乗り込んでしまう。
そして、たどり着いたところは家から遥か遠く離れた東京。
途方にくれていたルドルフの前に現れたのは、その町のボスネコのイッパイアッテナ。
ひとりぼっちになったルドルフが、文字の読み書きができる不思議なネコのイッパイアッテナと仲間達と共に暮らしてゆくうちに成長していく姿を描いたアニメーション作品。
作品に登場するネコの姿は、アニメや絵本に出てくるデフォルメされたマンガのようなキャラクターですが、その仕草はとてもリアル。
柱に頭や首筋を擦り付ける、前足と後ろ足をピッタリ畳んで閉じて座る香箱座り、エサをねだる時の鳴き声とお座り、前足で人の足首にしがみつくなど、ネコ好きなら「あるある!」と共感するシーンが盛りだくさんw
作中で、ルドルフが器用に引き戸をこじ開けるシーンがありました。
前足と爪を引き戸に引っ掛けて隙間をつくり、頭をグイグイねじ込んで部屋へ入ります。
狸の家にもキジトラの雑種のネコがいますが、「うちの子もこんな感じだw」と、見ていて感心しました。
作品の見どころは、イッパイアッテナが文字の読み書きができるところ。
本を読んで知識を得ることや、言葉から生まれる想像力の描き方がとても魅力的で楽しい。
文字を習ってから「新聞記事くらいなら読むことができた」とイッパイアッテナは言ってました。
新聞記事を声に出して読むこと(音読)は、国語力があれば小中学生でもできると思います。
しかし、ルドルフの名前の由来を一発で当てたり、「黒猫は縁起が悪いというのは、教養が無い証拠」と、差別や偏見が無知からくることを諭すところは、単に文字を読み書きできたら解るレベルじゃない。
「絶望とは…。」
格言や教養なんて学校の先生から言われたらウンザリしそうですが、作品を見ていると素直に共感できる。
只者とは思えませんw
文字を理解することが後半の展開に生きていて、「ネコには絶対にできない」問題を解決するヒントになっているところに引き込まれます。
「生きてゆくために必要なこと」を、丁寧にタイガーに教えていた飼い主の心情は「親心」だと思う。
イッパイアッテナが、なぜルドルフに文字を教えようとしたのか?
考えるまでもないですよね。
苦言を一言。
「ルドルフ」は、この作品の主人公の名前です。
行方不明になったからといって、似たネコに同じ名前をつけるのはどうかと思います。
飼い主の心情は想像できますが、自分の心の寂しさを埋めるために「ルドルフ」と名付けるのは、飼い主の身勝手としか思えません。
ベットを家族のように可愛がる人は多いと思いますが、家族は、いなくなったからといって簡単に交換できるモノではないでしょ?
お盆休みに作品を鑑賞。
劇場は、話題作を見に来た小さな子供とご両親達で、そこそこ満杯でした。
小さなお客様は正直なので、飽きたら劇場内で大運動をやらかしますw
ラストまで、誰も席を立たなかったのは久しぶりに見た…
。
上映中に、大声で泣き出した乳児をあやしていたお母さんが途中で退席。
観客は誰も文句を言いませんでした。
むしろ心配していた?かもしれません。
面白かった!
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