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2016年08月02日06:16

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感情移入する出版業界もの

写真は順に
*碧野圭「書店ガール」3,4,5巻 表紙(PHP文芸文庫)

碧野圭さんの文章は読みやすくて好きだ。
何より、私が学生時代に憧れまくった出版業界の話で面白くないわけがない。
ただ残念なことが…
4巻目の「パンと就活」編は誤植が目立つ。
この巻の主人公女性二人の名前がテレコになっている箇所が2箇所もあった。
あ〜あ、出版界の話なのにねぇ。
初版だからと言って見逃せない誤植だと思うのだが。
原作者、校正担当、編集者のチェックをもってしても見逃すような些細な誤植ではなく、名前が間違ってるんだから。

誤植の件はさて置き、物語には大変に心掴まれた。
1.2.3巻の主人公の書店員・理子と亜紀の物語で舞台だった吉祥寺の書店は、4巻目から吉祥寺の別の書店をメインにし、5巻目では更に茨城県取手へと移動する。
5巻では亜紀の夫でコミック出版社勤務の小幡も大いに絡んでくるが、基本は働く女性の生き様がテーマだ。
仕事と私生活にいかに活力を見出すか、困難が降りかかった時にどれだけ素直に自分を見つめ直すことができるのか、周囲の人や社会への思いやりが結果的にどれほど目的とそれに伴う作業を向上させるか。
そんなことを教えられながら、同じ出版関連でも文学系とライトノベルの出版業界の違いも初めて知った。
作者の出自がライトノベル雑誌の編集者だったため、大変にリアリティに富んだ内容であることにも満足。
憧れただけで終わってしまったが、私は学生の頃、出版社に就職したかった。
紙媒体からネットに取って代わられようとする出版物だから、書店は斜陽産業と位置付けられているかもしれないが、出版会社への就職が無理なら書店員になるという夢もないわけじゃなかったかな…などと、はるか昔を思い返してみずにはおられなかった。

ちなみに私が書いた卒論のテーマは「出版業界の流通三形態」…確かそんなタイトルだったな。
出版社、取次店、書店と公正取引委員会の働きを研究したつもり…だったっけな。
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