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2016年05月30日03:30

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『海皇の悪戯』

 2016年の双子誕作品です。「GEMINI FESTIVAL2016」http://green-sanctuary.raindrop.jp/geminifes2016.html参加作。
 サガとカノンがポセイドンにセクハラされるだけの話です。18禁にならない程度にBL要素があります。
 教育上よろしくないのでソレントは部屋の外に出されたけど(ポセイドンにそんな良識があることが驚きだよ!)、きっと扉に耳をぴったりとつけて室内の様子を盗み聞きしてると思います。
 サガとカノンのスーツは多分、聖域御用達の仕立て屋さんとかが作ったオーダーメイド。しかしサガはともかく、スーツを着たカノンはマフィアの若頭にしか見えない…。内々のパーティーだからもっとカジュアルな服装でもいいのだろうけど、そこはジュリアンの母親(ジュリアンにではない)に敬意を表して&「ストイックな格好の方がエロいことされるには萌えるじゃん!」な理由でスーツ姿に。
 昨年の話はこれ。『二つの宝玉』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5328347
 エロ要素の入る話なので、参照作品は『例えばこんな愛の形』『執着と愛の境界線』『常識についての一考察』『時には愛の言葉を』『いい双子の日』『双子の日』『寝室のドレスコード』『春蘭と秋菊の競艶』


『海皇の悪戯』

 双子座の聖闘士であり、現在は海将軍筆頭・海龍として海界を統治しているカノンは、一、二か月に一回くらいの割合で、ギリシャのソロ邸に顔を出している。海皇としての記憶もなく、海闘士のことも聖戦のことも何も知らないジュリアン・ソロであるが、トラブルに巻き込まれた際になんだかんだでカノンに助けられて、彼とは面識と信頼関係を作っていたのだ。ポセイドンの依り代としてジュリアンの成長を秘かに見守ってきたカノンには、彼をどこか弟めいた存在として可愛いと思う気持ちもある。ポセイドンを無視してアテナにばかりかまけていると、海皇の機嫌が悪くなって何かろくでもないことをされるという理由もある。
 というわけで、日差しに夏の気配が混じるころ、ジュリアンのご機嫌伺いにソロ邸を訪ねていたカノンに、ジュリアンがこう言った。
「ねぇ、カノン。あなたの誕生日は5月30日でしたよね」
「そうだが…よく覚えていたな」
「そりゃあ、あなたの誕生日ですもの!」
 ソファに座ってコーヒーをすすっていたカノンに、向かいに座っていたジュリアンは身を乗り出してこう言った。
「今年もあなたの誕生日パーティーをここで開きますよ。お兄さんと一緒に来てください」
 昨年、カノンに双子の兄がおり、二人の誕生日が5月30日であることを知ったジュリアンは、サガとカノンをソロ邸での誕生日パーティーに招いていた。内々だけでのささやかな祝いであったが。
「面倒だな」
「いいでしょう?来てくださいよ。ソレントも呼びますから」
「おれは別にあいつに会いたくはないんだが…」
「そんなことを言わないで…。ね、ね、いいでしょう?しましょうよ、誕生日パーティー」
「しかしなぁ…」
「カノ〜ン」
 場所をカノンの隣にと移動したジュリアンは、カノンの膝にすがって甘えた。
 カノンは、ジュリアンの瞳をのぞき込んで考えた。
『これ…ポセイドンがジュリアンに働きかけて言わせているのか…?』
 幼い頃に海皇の魂を宿したジュリアンは、本人でもそうと気づかぬまま、深層意識にポセイドンの意志の影響を受けることがある。どこまでがジュリアンの意志なのか、それともポセイドンの意志なのか、二人の意識は溶け込んで判然としない時があるのだ。昨年の誕生日パーティーでは、招かれたサガとカノンはポセイドンによって海界に移動させられて水魔と戦う羽目になったこともあった。
 カノンは海皇の意志を警戒した。
「カノン?」
 自分をのぞきこんで考えているカノンに、ジュリアンは小首を傾げた。天使のように優しく甘い顔だちと無邪気な瞳が、カノンを見つめる。
『ポセイドンの意志ではないとしても…ここで断ったら自分がないがしろにされたと怒るよなぁ、あの神様は』
 結論を出したカノンは、はあっとため息をついた。
「分かった。いいだろう。誕生日パーティー、出てやる」
「わーい、カノン!ありがとうございます!」
 カノンの真意がどこにあれ、自分の申し出を受けてくれたことにジュリアンは喜び、彼に抱き付いたのだった。

 こうして5月30日、サガとカノンはそろってソロ邸を訪ねた。ジュリアンはサガが聖闘士であることも知らないので、一般人の服装を、ということで、サガは無地のライトグレーのスーツに身を包み、ライトブルーのシャツに象牙色のネクタイを締めていた。それに対してカノンはネイビーに白のペンシルストライプが入ったスーツで、濃い目のグレーのシャツにラベンダー色のネクタイを着けていた。
 誕生日パーティーはジュリアンとその母親、ソレント、そして双子たちだけが出席する小規模なものだった。双子たちは用意された誕生日ケーキのろうそくを吹き消して、ジュリアンからの祝いの品を贈られた。五人で昼食を共にした後は、ボードゲームなどして楽しんだ。
「…杞憂だったかな」
 やがてパーティーもお開きとなってソロ邸を後にしようと廊下を歩きながら、カノンは呟いた。
「杞憂とは、カノン?」
「ん〜。ポセイドンがなにか仕掛けてくるかなとも思ったんだが…そういうことではなさそうだし」
 ジュリアンから祝いとしてもらった「ジョルジョ・アルマーニ」のワイシャツの箱を見ながら、カノンはごちた。サガには薄いブルーの地にストライプのワイシャツを、カノンにはネイビーのワイシャツを、ジュリアンは用意していた。
「なにはともあれ、こうしてお前と二人で祝ってもらえるのは嬉しい」
「そうだな。ポセイドンの介入もないなら万々歳…」
 と言った時、二人は背後からソレントに声をかけられた。
「サガ、カノン」
 二人が振り向く。
「どうした」
「ポセイドン様がお呼びです。お二人とも、ジュリアン様の私室にいらしてください」
 双子たちは顔を見合わせ、そしてため息をついた。
 やはりただの誕生日パーティーでは終わらなかったか、と。

 サガとカノンがジュリアンの私室に入ると、部屋の中にある椅子にジュリアン、いや、顕現したポセイドンが腰かけていた。傲然とした神の視線が二人に向けられる。
「セイレーン、お前は下がるが良い」
「…はっ」
 主の命に従い、ソレントは部屋を出た。
 瞳を伏せたカノンは床に片膝をつき、一応は主である海皇に臣下の礼をとった。サガは、ひざまずきはしなかったが、わずかに身をかがめて頭を下げた。
「何の御用でございましょうか、ポセイドン様」
 カノンが口を開く。すると、海皇はこう言った。
「双子座のサガ。お前…こちらに来るがよい」
「…は…?」
 サガもカノンもその言葉をいぶかしんだ。海皇はカノンのことは気に入っているようだが、アテナの聖闘士であるサガのことは、どちらかと言えば「アテナの犬臭い」として嫌っていたからだ。
 ともあれ、サガは海皇の言葉に従って、彼に歩み寄った。距離を縮めて立ち止まると、ポセイドンがさらに言った。
「もっとこちらへ来よ。もそっと、側に寄れ」
 そうしてとうとうポセイドンの真ん前までサガが近づくと、海皇は自分の膝を叩いた。
「ほら、ここに座るが良い」
「は…?」
 サガは後ろに控えるカノンを振り向いた。カノンも、海皇の意図が読めず困惑した。
「よいから、座れ」
「はぁ…。では失礼して…」
 サガは思いきって、ポセイドンをまたぐようにしてその膝の上に座った。手をポセイドンの肩に置き、海皇の様子をうかがう。
「これでよろしいでしょうか、ポセイドン様」
「うむ」
 実に上機嫌そうに、ポセイドンは笑った。サガの顔を間近で見上げる。
「こうして見ると、お前も悪くはない。シードラゴンと同じ顔と姿で、実に美しい」
「はぁ…」
「知っておるか?神話のディオスクーロイ(双子座)に航海の守護神としての権能を与えたのは、この私だ」
「…そう聞いております」
 とはいえ、神話時代のことなど持ちだされても、今のサガには知ったことではなかった。
「私は美しいモノが好きなのだ。男でも女でも…」
 神話のポセイドンは多くの女を愛し子供を産ませる一方、タンタロスの息子ペロプスを「美しいから」と寵愛したという逸話がある。荒々しい自然を司る神としての性質は男性の精力にも結びついており、古代ギリシア人によって「最もセックスを楽しんでいる神」と言われたほどだ。
 そしてその好色な神は手を動かし、サガの太ももをするりと撫でた。
「…ひっ!」
 サガの背筋がざわっと総毛立った。
「サガ!?」
 カノンが驚き、立ち上がる。
「シードラゴン、お前は動くな」
「し、しかし…!」
「動くでない。そこで見ておれ」
 カノンの動きを制すと、ポセイドンは薄いウールの生地の上からサガの太ももを撫で回した。
「…あ、あ…やめ…」
 パンツに包まれたサガの足がぴくぴくと震える。耐え切れず立ち上がろうとしたが、腰を両手でつかまれ、少年のものとは思えぬ力で固定された。さらに海皇の手がサガの腰から尻を撫でて、臀部の肉をつかんだ。指先で尻の狭間を撫でられたサガが身をはねさせる。
「…ひんっ!」
「ふむ、良い反応だ」
「だ、だめです…!そこは…」
「ではこちらなら良いか」
 ポセイドンの手がサガの尻から腰に、そして胸にと移動していく。ジャケットの下から手を入れ、ワイシャツの上から脇を撫で回すと、刺激でつんと立った乳首を摘んだ。
「やぁ…ん」
 ポセイドンに愛撫されるたび、彼の膝の上でサガは体をはねさせ、喘ぎ声を漏らした。体の奥に熱がたまり、思考がとろけていく。身をよじり、悶えさせる。そんな兄の嬌態を、カノンは海皇を止めることもできぬまま、見ていることしかできなかった。
 ぎりっとカノンの奥歯が噛みしめられた。燃えるような怒りを込めて、憎々しげに、悔しそうに自分を睨みつけるカノンの姿に、ポセイドンがにやりと意地悪そうな笑みを浮かべる。
「それ、その目、その顔…。シードラゴン、お前のその顔が見たかったのだ」
「ポセイドン様…!おたわむれもほどほどに…!」
「ふん」
 カノンの抗議を鼻であしらったポセイドンは、自分の膝の上で快楽に侵されているサガを見上げた。潔癖そうな瞳はうるみ、白皙の肌は上気し、体を小さく断続的に震わせている美しい双子の片割れは、並の男ならそのまま押し倒して犯したい、自分のものにしたいと思うほど、蠱惑的であったろう。
 だが海皇は、
「…つまらぬな」
 と言って、愛撫の手を止めた。
「は…?」
 思わず、サガとカノンがポセイドンを見返す。
「つまらぬ。同じ顔でもやはり海龍ではなく双子座では、どうも楽しくない」
「……」
 人にセクハラをしておいてその言い草は何だ、とサガは思ったが、神であるポセイドンの傲慢さをとがめることは彼にはできなかった。
 やがてポセイドンはサガの胸をとんと手で押して、彼を離した。力の抜けたサガは、そのままずるりと床に座り込んだ。
「…サガ!」
 たまらず、カノンは兄に駆け寄った。
「カノン…」
 熱い吐息を吐きながら、サガはぴくぴくと体をけいれんさせていた。足をぴたりと内股にくっつけて座り、もじもじと腰のあたりを動かし、股間を押さえている。未だに快楽の火が収まらないのだ。海皇の手によってすっかりとろけさせられてしまった兄の姿に、カノンは突如として猛烈な怒りを覚え、憤慨した。そして兄の頭をぽかりと叩いた。
「い、痛い、カノン!何をする!」
「うるさい!なにを感じてるんだよ、お前は!男なら誰でもいいのか!」
 完全に八つ当たりである。不本意な性行為を強要された自分への思いやりとは程遠い弟の罵倒に、兄は目に涙をにじませて半泣きになった。
「ひ、ひどい…。そんな言い方をしなくても…」
「この淫乱!」
「わ、私が感じやすいのは、私のせいではない!」
「じゃあ、誰のせいなんだよ!」
「だ、誰って…、ア、アイオロス…?」
 思わず、サガはその名前を出してしまった。サガが感じやすくなったのは、恋人である教皇アイオロスに毎晩のように「調教」されているからだと言われたも同然のカノンは、怒りと屈辱で顔を赤くして震えた。
「あ、あ、あの絶倫人馬がーっ!いつか絶対、去勢してやるーっ!」
 カノンの怒号に、「去勢されたら私が困る…」とサガは思った。
 そんな双子の姿に、ポセイドンは愉快そうに笑い声を上げたのだった。

「それ、シードラゴン。今度はお前がここに座るが良い」
 ぱんぱん、と海皇が笑顔のまま己の膝を叩いた。主の要求に、カノンは眉を寄せて心底から嫌そうな顔になった。
「早くせよ」
 ポセイドンに再度促され、カノンは嫌そうな顔のまま、しぶしぶとその命令に従った。兄と同じようにポセイドンをまたぐようにして膝の上に座ると、海皇は先程サガにしたようにカノンの太ももを撫でまわした。
「……ッッ!」
 ざわわっ、とカノンの全身に鳥肌が立ち、思わず背がのけぞった。嫌悪の目で海皇を睨みつけるが、相手の方は平然と唇の端に笑みを浮かべている。
「い…い…っ!」
 海皇の愛撫に反応して体をはねさせながら、カノンが問う。
「こ、こんなこと…楽しいのですか、ポセイドン様!?」
 平然とポセイドンは答えた。
「実に楽しい。ふふ…その目、たまらぬな。そうして反抗心を奥底に押し隠しつつ、それでも私の命に従わざるを得ない…そんなお前の姿が、どんな美女の媚態より私を悦ばせるのだ」
 愛撫は臀部や腰に移り、そのたびごとにカノンの体が震える。やがてポセイドンはラベンダー色のカノンのネクタイを緩めると、ジャケットとワイシャツのボタンを外した。濃いグレーのシャツの狭間からカノンの白い肌がのぞく。あらわになったカノンの胸には、ポセイドンの三叉戟の傷跡があった。
 その傷をつけた海皇の小宇宙に反応し、カノンの傷跡の皮膚は普段よりもいっそう赤みを帯びた色合いになっていた。ちりちりとした痛みを、カノンは傷跡に感じた。海皇の小宇宙を感じると、カノンの傷跡はこうして痛み、主の存在をカノンに思い知らせるのだ。
 ポセイドンは舌を伸ばし、三叉戟の傷跡をぺろりと舐めた。
「ひっ…!」
 カノンは目を見開き、ひときわ大きく体をはねさせた。ポセイドンの舌が傷跡に触れた途端、そこから海皇の小宇宙がカノンの体の中に流れ込んだ。それが想像以上の快感となって全身を貫くように走る。
「あ…ああ…っ!」
 ぺろり、ぺろり、と、ポセイドンが傷を舐めるたび、カノンは身の内を走る快感によがった。思わずポセイドンの肩を手でつかみ、彼にすがるような形になる。
「い、嫌です!おやめください…!」
「お前が私に対してしたことを考えれば、この程度のことは甘受すべきだと思わぬか?」
「ああ…ポセイドン様…」
 熱い吐息の間に、カノンが言葉を紡ぐ。背後から兄サガの視線を感じる。
「こ、このような辱しめを与えられるくらいなら…」
 耳元でささやく。
「いっそ…今夜にでも伽をお命じくださいませ…!」
「お前からその様な申し出をするとはな…」
 ちゅ、と、海皇はカノンの乳首を吸った。
「あん…っ!」
「兄に見られるのは…それほど嫌か?」
 はあはあと荒い息をつきながら、カノンはポセイドンを睨みつけた。
「ほら、そうしてまだ私に瞳で反抗しておる」
 くっと喉で笑ったポセイドンは、緩んだカノンのネクタイをつかみ、彼をぐっと引き寄せた。
「伽は命じぬ。お前が私の前に自ら身を投げ出し、情けを乞い、足を開いて私を求め、受け入れるまではな」
「……」
 そうしてポセイドンは、カノンの唇に触れるだけのキスを与えた。
 力ずくでカノンの体を奪うなど、ポセイドンにはたやすいことだった。だが、それでは面白くない。ただ手籠めにするなどは神話の時代にやり尽した。ポセイドンは、単純な情事には飽きていた。今はいかにしてこの誇り高い海龍を屈服させるか、その駆け引きが何よりも楽しいのだ。
「大義であった。膝から降りてよいぞ、シードラゴン」
 ネクタイから手を離し、鷹揚に、ポセイドンはカノンを解放した。海皇から離れたカノンは、まだ快楽でふらつく足と頭を叱咤し、何とか自分の足で立った。シャツとジャケットのボタンを留め、ネクタイを締め直し、乱された衣服を整える。座りこんでいたサガも立たせ、呼吸を整え、情事の跡を一掃する。
「セイレーン!」
 ポセイドンが高らかな声で臣下を呼ぶ。呼ばれたソレントは、すぐに扉を開けて部屋に入って来た。扉の外で控えていたのだろう。部屋の中の様子をどれだけうかがい知れたのかは、彼の真面目で冷静な顔からは、サガにもカノンにも分からなかった。
「お呼びですか、ポセイドン様」
「例の目録を二人に手渡してやれ」
「はっ」
 一礼したソレントが、机の上に置かれていた二つの封筒をサガとカノンに手渡した。
「どうぞ」
 二人が封筒を開いて、中の書類を引き出し、広げる。どちらの書類も、文面にはこう書いてあった。
『神馬、雄一頭』
 と。
「これは…?」
 カノンの疑問にポセイドンが答える。
「私からお前たちへの誕生祝いの品だ。私の所有する神馬のうち、頑健で、力強く、血統も良い物を選んでおいた。後日、聖域と海界に届けさせるゆえ、受け取るが良い」
 農業が機械化されていない聖域では、馬はいまだに農耕馬として重要な存在である。科学技術文明の発達していない海界でも、軍馬としても労働用としても、馬は大切な存在だ。馬の神でもあるポセイドンがより抜いた神馬となれば、働かせて良し、種馬として仔馬を産ませて良し、と、その価値は計り知れない。
 サガとカノンは顔を見合わせた。むっつりと押し黙っているソレントの表情から「先程のセクハラは彼にはもれてない」とあえて希望的な判断を下す。そして双子はソレントと同じように真面目な顔で、ポセイドンに一礼した。
「ありがたく拝領いたします」
 うむ、と、満足そうにポセイドンは彼らに笑んで見せた。

 ジュリアンの私室を後にした双子は今度こそソロ邸を後にしようと廊下を歩いていた。が、サガの足はふらつき、こけそうになった彼はとっさにカノンの腕をつかんだ。
「サガ?」
「…す、すまない…」
 見ると、サガの瞳はまだうるみ、吐息も熱かった。股を内側に擦り合わせて不自然に動かし、歩きにくそうにしている。体の奥に灯った快楽の熱がまだ消えてないないのだ。
 カノンは軽く息をつき、兄の肩と足を抱えて彼を横抱きにした。
「…カノン!」
「歩けないんだろ?」
「…うん…」
 ジュリアンからもらったワイシャツの箱は抱えられたサガが二人分を持つ。自分に身を委ねた兄を運びながら、カノンは言った。
「このまま海界に行くぞ。…おれが手と口でしてやる」
「……」
 恥ずかしそうに顔を赤らめ、それでもサガはうなずいた。
「あ、あの…カノン、今日のことは…アイオロスには黙っていて…」
「まあ、おれもポセイドンにセクハラされたなんてあいつに言いたくないが…」
 しかしやたらと敏感になって帰って来たサガを抱いたら、あいつには一発でばれるんじゃないかなぁ、とカノンは思ったのだった。

 その後、海界のカノンの公邸に姿を見せた双子は、夜遅くまで寝室に二人でこもっていたとのことである。

 後日、聖域と海界にはポセイドンの贈り物である神馬が姿を見せた。
 そこでまた一悶着が起きた。
 双子がポセイドンから誕生日の祝いを受けたことを知った沙織が、「私も二人を祝います!聖域をあげての祝祭を開きます!」と言い出したのである。
「教皇ならともかく、一介の黄金聖闘士を聖域をあげて祝うなど、過分にすぎます!おやめくださいませ!」
 と、沙織に「双子の誕生祝い」を断念させるのに、アイオロスとサガは大層苦労したのであった…。

<FIN>

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