私が暮らす街には、ローカル百貨店が2つある。
JRの駅の北と南に、西武と松坂屋があって、ごくささいな点で、両店の店内放送が違っているのに近ごろ気がついた。
気がつくと、気になる。
松坂屋は、「〜どうかお気を付けくださいまし」「〜どうぞご利用くださいまし」と丁寧な依頼の語尾が「まし」。 いっぽう、「〜お気を付けくださいませ」「〜ご利用くださいませ」と、西武のほうは「ませ」なのだ。
「ませ」と「まし」。 どっちかがより丁寧、とかあるのかな。 たいていのところでは、「ませ」しか聞かないって気もするけど。
ネットで調べてみると、” 「〜まし」は東京 (江戸) で「〜ませ」は関西。 ただし現代では東京のデパートでも「ませ」を使っています” なんて書いてあるサイトがあったりする。
そういえば、『半七捕物帳』 の登場人物は「まし」だし、綺麗な東京ことば使いの司会者の故玉置宏さんも、昔NHKラジオの演芸番組で、「いらっしゃいまし」といってた気がする。
でもさ、西武はもともと関東系。 でもって、松坂屋って、名古屋がルーツじゃなかった? (しかも最近では京の大丸とくっついてるし。)
松坂屋はなぜ「まし」派なのか、ご存じの方がおられたらご教示を。
ここからは余談。 「まし」は、金沢では、少し違った (でもその本来は同系かもしれない) 使われ方をする。
「おしなさいよ」や「お飲みなさいよ」といった勧めるときの言い回しが、加賀弁では、「しまし (しまっし)」「飲みまし (飲みまっし)」になる。
ところが、富山弁では、「しられ」と「飲まれ」。 命令されているみたいで、富山に来て最初に聞いたときには、ちょっとコワかった。
そのあと、金沢で「しまし」「飲みまし」を聞いて、さすがは百万石のおひざ元、優雅なことば使いだと思ったものだった。
いえ、富山弁中級をなんとかクリアしつつあるいまじゃ、「まし」ことばとはまた違う「られ」ことばの情の深さがわかるようになって、コワいなんて夢にも思いませんけどね。
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