女性シンガーが歌うスタンダード・ナンバーCD-R　その３

　時代が移り変わってもスタンダード・ナンバーは不滅だ。長い年月愛され続けてきたということは名曲の証し。しかし、その名曲もそれを表現する演奏者あってこそ。

　今回のCD-Rはそうした名曲たちを女性ヴォーカリストが歌ったもの。いままで同じような内容のものを２枚作ったが、登場する歌い手と曲目はすべて違う。ジャズ・シンガーと呼ばれるひと、ポップス・シンガーと呼ばれるひと、そしてクラシックのひと、とジャンルも様ざまで、演奏スタイルもコンボ編成からビッグ・バンド、フル・オーケストラといろいろ取り揃えた。

　　１　ミスティ Misty サラ・ヴォーン

　　２　Spring Will Be A Little Late This Year ポリー・バーゲン

　　３　Nice Work If You Can Get It パティ・ペイジ

　　４　My One And Only Love ジューン・クリスティ

　　５　The More I See You フレデリカ・フォン・シュターデ

　　６　もしも君を愛したら If I Loved You ジュリア・ミゲネス

　　７　君は我がすべて All The Things You Are ヘレン・フォレスト

　　８　ほのかな望みもなく A Ghost Of A Chance リー・ワイリー

　　９　エンジェル・アイズ Angel Eyes ナンシー・ウィルソン

　１０　It's Easy To Remember ドリス・デイ

　１１　ネイチュア・ボーイ Nature Boy アニー・ロス

　１２　Nice "N" Easy まきみちる

　１３　I'll Be Around クレオ・レーン、（ピアノ）ダドリー・ムーア

　１４　その手はないよ Don't Be That Way ゴギ・グラント

　１５　The Very Thought Of You ナタリー・コール

　１６　あなたはしっかり私のもの I've Got You Under My Skin ローズマリー・スクワイアズ

　１７　月は黄色に The Moon Was Yellow ジェーン・モーガン

　１８　All Or Nothing At All アン・リチャーズ

　１９　匕首マッキー Mack The Knife シャーリー・ホーン

　２０　I Love You For Sentimental Reasons ローラ・フィジー

　２１　煙が目にしみる Smoke Gets In Your Eyes アナ・マリア・アルバゲッティ

　２２　Beautiful Love ヘレン・メリル

　２３　But Not For Me キャロル・スローン

　メゾ・ソプラノのフレデリカ・フォン・シュターデなど本人とは気づかないほどはまっているし、同じくメゾのジュリア・ミゲネスもミュージカル・ナンバーを過度にオペラティックにせず美しく歌っていてさすが！

　美人女優でもあるアナ・マリア・アルバゲッティは綺麗なソプラノ・ヴォイス、同じく女優のポリー・バーゲンはちょっとドスの効いた声。
　
　日本では「わんわんワルツ」とか「テネシー・ワルツ」で知られるパティ・ペイジが、本当はジャズ歌手であるところを聴かせてくれている。ドリス・デイも何を歌っても上手い。

　ジャズ歌手といえば、ヘレン・メリルがここではリチャード・ヘイマン編曲指揮のストリングスをバックに「ビューティフル・ラヴ」をとてもビューティフルに歌っている。

　クレオ・レーンとコラボしているピアニストは、コミカルな役どころを得意とする俳優のダドリー・ムーアそのひと。彼はジャズ・ピアニストとしても一流だ。

　まきみちるは嘗てのアイドル歌手槙みちる。若い頃からジャズが好きだったという彼女のシナトラ・トリビュート・アルバムから一曲。

　ローラ・フィジーは一頃人気を博したが、最近はちょっと活躍ぶりが聞こえてこない。ブルーノート東京でライヴを聴いたけどとても色っぽかった

　「ミスティ」といえば男性歌手ならジョニー・マティス、女性ならやっぱりサラ・ヴォーンだろう

　ナット・キング・コールの大ヒット曲を歌うのはヴォーカル・トリオ、ランバート、ヘンドリックス・アンド・ロスのアニー・ロス。

　父親のヒット曲を歌うナタリー・コールは去年の暮亡くなった。時は流れる。

　気品を感じさせるリー・ワイリー、ナンシー・ウィルソン、アン・リチャーズ、ジューン・クリスティ、今は亡きシャーリー・ホーンの若き日の歌もいい！

　若手もどんどん出てくるこの世界、明日のリー・ワイリー、サラ・ヴォーンは果たして生まれてくるのだろうか。