シナトラ・ジュニア逝く

　フランク・シナトラのひとり息子フランク・シナトラ・ジュニアが今月１６日心臓発作のため亡くなった。１９４４年生まれ享年７２歳だった。近年は歌手としての活動も活発で、当日もコンサートが予定されていたという。

http://www.sankei.com/world/news/160317/wor1603170039-n1.html

　彼は７０年に公開された日本映画「ある兵士の賭け」（米題名 The Walking Major ）に出演、石原裕次郎と共演したこともある。

　その頃、歌手としての活動も始めており、７１年から２枚のアルバムをリリースした。そのうちの1枚がここに掲げた『 HIS WAY ! 』。プロデューサーはソニー・バーク、オーケストラのアレンジ、指揮がネルソン・リドルと万全の態勢ながら、肝心な彼自身の歌が全くいただけない。

　まだ３０歳になる前で、明るい声は若き日の父シナトラを彷彿とさせるものがあるが、決定的な違いは歌いっぷりに華がないことだ。これはプロとして致命的だ。

　自ら歌手としての才能に見切りをつけた彼はプロデューサー活動に専念することになるのだが、当時の心境をコラムニスト、ボブ・グリーンとの対談で「自分には歌手としての才能がなかった」と率直に語っている。

　しかし９０年頃から歌手としての活動を再開する。特に父シナトラが亡くなった後は何かが吹っ切れたように活発な活動を行うようになる。アメリカ国民は偉大だった父シナトラの面影を息子に見ていたのだろうか。

　歌手として来日したこともあるが、一度は聴いておくべきだったかもしれないと少し後悔している。