監督・脚本 クエンティン・タランティーノ
主演 サミュエル・L・ジャクソン カート・ラッセル
時はアメリカ南北戦争直後、舞台は片田舎の一軒家。
猛吹雪に見舞われて一軒家に閉じ込められた、賞金をかけられた一人の女性と、八人の男達。
一見、駅馬車に偶然乗り合わせた客と一軒家の住人のように見えたが、やがて意外な展開を見せる…。
ストーリーの中心が「雪に閉ざされた一軒家」という設定で、なんとなく推理小説によくある「密室モノ」を想像していました。
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」のような。
密室で殺人事件が起きて、探偵が事件の謎を解き明かす。
毎年春に公開されている「名探偵コナン」のような、勧善懲悪ミステリーかな?
いや、カート・ラッセルが出演して雪に閉ざされた空間といえば「遊星からの物体X」のオマージュ?、もしかしてSF?
タラちゃん作風変えたの?、などなどと期待半分、予備知識無しで鑑賞しました。
タランティーノ監督にブレは無いw
極端な言い方をすれば、過去にスネに傷を持つ悪党達(?)が、自分達の目的を達成するために知恵を巡らせて乱闘をするというストーリー。
強盗が破滅する「レザボアドッグス」や、組織を抜けた殺し屋を描いた「キルビル」のテイストを期待する観客なら面白いでしょうね。
章ごとでストーリーを区切って、一部で時系列を入れ替えているところは「パルプフィクション」の手法。
音楽にエンリコ・モリコーネを持ってきたところは、「ジャンゴ」でマカロニウエスタンへのオマージュを盛り込んだ演出を連想させます。
タランティーノ監督作品の特徴は、薀蓄を詰め込んだ衒学的というか、とても長すぎるセリフ。
監督の作品のファンなら、ここが魅力的だと思いますが、セリフだけでストーリーを説明するのは「映画」としては失敗です。
作中で南北戦争について登場人物が語り合うシーンがありますが、ここは断片的でも「厳しい戦争」の映像を入れて貰いたかった。
歴史を知っている人なら作品の背景が見えて面白いところですが、知らない人から見れば学校で退屈な歴史の授業を聞いているようなもの。
この作品を見ていた時、観客の半分くらい乃人達が撃沈していましたw
作中で「黒人」や「ニガー」といった差別的なセリフ(?)が連発します。
一般的な映画作品なら問題になりそうですが、「タラちゃんなら、通常運転だよねー」と済まされるところが監督らしいw
タランティーノ監督自身の背景を考えると、暗に「人権問題」を啓蒙しているんですよね。
今年のアカデミー賞は、人種差別的な配役が問題になってアフリカ系アメリカンの俳優達がボイコットしたとか…。
作中で「壊れたドア」が出てきます。
あれだけ銃弾が打ち込まれていたら、ドアを見ただけで「賞金稼ぎ」は異変に気づくはずなのに…。
悪くない作品.
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