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2016年02月23日15:02

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北朝鮮の暴走を止められない理由

昨日AP通信が「北朝鮮の暴走を止められない理由」と題する論説をツイートしました。あらかた内容は推測できますが、興味ある記述もありますので抄訳してみました。

1月6日の核実験、2月7日のミサイル発射と立て続けに北朝鮮の挑発行為が続き、アメリカ、韓国、日本などが制裁強化の声を上げている。
だが、果たして北朝鮮に対する経済制裁が有効なのだろうか?
カギを握るのはやはり中国なのだ。

もう何年も前からアメリカなど個別の制裁の他に国連でも制裁決議されているが、いずれも北朝鮮の核開発技術の進歩を止めることはでいなかった形だ。
もちろん経済制裁は北を多少困らせることはできても、中国がいる限り致命的打撃にはなりえない。中国は長年に亘り北朝鮮の最大の貿易国であり、北朝鮮が厳しい制裁によって収集つかなくなる事態を恐れる結果、他国の制裁を無力化してきているのだ。

アメリカ議会は北に対する新たな制裁措置を決議し、オバマ大統領も国連決議に反して北朝鮮と違法な取引をする企業や銀行に対する制裁にむけて行動を起こしているが、制裁の標的を絞り込み不正の証拠をつかむのは至難の業である。

ところが最近になって中国も北に対する経済制裁に前向きな姿勢を示し始めてきた。多分アメリカと韓国の間でTHAAD(敵の弾道ミサイルが、航程の終末段階にさしかかり、大気圏に再突入している段階で撃破するために開発された、世界で最も進んでいると言われるミサイル防衛システム)の韓国配備を検討しているとの情報と関連があるかもしれない。
先週の中国政府の英文機関紙チャイナ・デーリーは「THAADの韓国配備は北東アジアの安定にとって脅威となる。有効な経済制裁で北朝鮮をして核開発を考え直すことが出来れば、韓国配備は必要なくなるだろう」と論評している。

北朝鮮は核保有国なのか否か、という議論が朝鮮半島安定のための外交努力を大きく阻害してきた。北の核開発を阻止するための6か国協議は2008年を最後に開かれていない。アメリカは北が核開発を止めると明言しない限り一切の交渉には応じないとする一方、北朝鮮は自国は一人前の核保有国げあり、世界、とりわけアメリカはそのように遇すべきだと主張する。
2012年にはアメリカは「核武装解除と交換の食糧援助」をテーマに直接交渉に入ったが、途端に北はロケット発射実験を行い、協議を空中分解させた。このことでアメリカの北朝鮮専門家たちの態度は一気に硬化してしまった。

国際社会の間では、「北が核開発の放棄に応じる可能性はない。唯一の解決方法は、北を核保有国と認めて、その上で核開発の凍結から核軍縮へと議論を進めて行くことだ」という声も聞かれる。
だが、アメリカは頑なに北の核保有国を認めず、北も頑なに核保有国を認めろと繰り返すだけで、外交交渉は進むはずもない。

武力行使で北の核施設をミサイルで破壊する方法はどうか。1981年にイスラエルがサダム・フセインのイラクのオシラクを空爆した作戦である。
既に1950年代からアメリカと韓国の間ではこの議論が繰り返されてきたが、いつもNOで終わっている。
韓国の5千万の人口の半分を擁するソウルは、北との境界線から僅か50キロしか離れておらず、いかなる武力行使も、一瞬にして北からの砲弾の嵐に直面するだろう。リスクが余りにも大きすぎるのだ。

先日韓国政府は北朝鮮側にあるケソン共同工業団地の閉鎖を発表した。これは確かに北にとっては打撃だろうが致命的なダメージではない。
北朝鮮は制裁の効果もあって経済的にはかなり疲弊し碌な産業もないし、中国以外には殆ど交易相手もいない。

ケソンには韓国の120以上の企業が進出ておりし、54,000人の北朝鮮市民を雇用し年間1億2千万ドルの賃金を支払っているが、その金は労働者に支払われるのではなく、キム・ジョンウンに直接送金される仕組みになっている。
だが、北朝鮮は中国に対してこれの20倍もの輸出をしているのだ。
従って中国が新たな経済制裁に参加しない限り、ケソンの損失を乗り越えて何とかやってゆけるだろう。

これが、北朝鮮に対する制裁措置で核開発を止めることの難しい理由なのだ。

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