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2016年02月16日00:29

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『俳優 亀岡拓次』


 脇役俳優という職業があるわけではない。脇役俳優と(かつての)大部屋俳優とは違うというか意味合いが異なるし、エキストラ(仕出し)というのとも異なる。素人をエキストラに使うこともあるが、プロダクションに登録されたプロのエキストラというひともいる。その辺、区分があるわけじゃないからややこしい。アメリカのように強固なユニオンが存在していれば、明確になるんだろうけど。

 脇役と端役は違うのか(ああ、ややこしい)。脇役でも「かなり名前が知られた俳優だけど主役を演ることは殆どなく、脇の役に徹しているように見える」俳優もいれば、「観客や視聴者でもよほど通のひとしか名前が知られてない、しかし現場や仲間内では結構評価が高かったりする」俳優もいる。そしてこの前者と後者に明確な垣根や違いがあるわけではない。ああ、ややこしい。わざわざややこしく書いてるんだけど。前者だとクレジット上は1枚表記だったりすることもあり、後者だとクレジット表記はその他大勢下手したらクレジット落ち。

 例えば、大杉漣、諏訪太郎(太朗)、津田寛治、田中要次…、ここ20年ぐらいで後者から前者にシフトしたひと? うーん、ちょっと乱暴な仕分けかな。ジャンルの問題もあるし。かつて成人映画で鳴らした役者が大河ドラマで1枚扱いになってると大出世したように感じるのは、たぶんただの偏見だろうし。

 宇野祥平という役者がいる。ここではいることを覚えといてください。

 で、その前にこの映画の「主役」、ヤスケンこと安田顕について整理する。東京で売れるようになるまである程度の時間を要したとはいえ、北海道では早くから名が知られた存在だったし、苦節ウン十年脇役一筋という役者ではない。それでいて「ワキで何か変な芝居をしてみせることも期待される」俳優であり、脇役俳優だといえなくもない。しかし、この映画の中の「亀岡拓次」と亀岡を演じるヤスケンとは異なる役者である。ヤスケンはカメレオンが背景に溶け込むがごとく素の亀岡を演じる。まるで個性などないかのように、横浜聡子は演じさせる。
 
 知る人ぞ知る各現場から引っ張りだこのユーティリティ俳優亀岡は趣味といえば酒を飲むことぐらいでもう半ばアルコール依存症っぽいが、役者として意欲がないわけではない。避けていた舞台に挑戦したり、海外の名監督のオーディションを受けたり。挫折もするし内心腹も立てることもあるのだろうが、それを表に出すことはない。それは恋に関しても同じスタンス。

 演じる自分と演じていない自分とが次第に混沌としてくるが、破綻には至らない。或いは破綻の向こう側に彼はいるのか…。映画の異端にいたような横浜聡子が、オリジナルではなく原作小説のある、今の映画の世界を真正面から取り上げた作品を撮るとはあまりにも意外。




 えーと、何か忘れてないかな。

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