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2016年02月06日03:40

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GDRが自転車部門休止でもめげてなかった

■ GDRが自転車部門休止でもめげてなかった

グラファイトデザインはカーボンシャフトのゴルフクラブメーカーとして知られています。オリジナルブランドの他に、国内有名ブランドにカーボンシャフトや製品をOEMしているメーカーで、自転車のカーボンフレームメーカーとして参入しましたが、不採算部門として2015年で自転車部門を休止することになったそうです。

グラファイトデザインはフレーム&フォークセット、フロントフォーク単体、ステム、ハンドルバー、ホイールなどを開発して、自転車チャンネンルのおろし屋さんとジョイントしたりして販売してきましたが、ハイエンドモデルなのでそうそう売れる分けでもなく、採算ベースの販売量を確保できず自転車部門を休止したようです。

初期はメイタンチームにカーボンフレームを供給、まだプロダクツプロトと言える段階の製品で、埼玉県に秩父市内の国内ファクトリーの開発ラボでワンオフで製作されていた製品でした。当時所属していた新城選手など、選手のキャラクターに合わせて、剛性やフレームスケルトンを設計して、ハンドメイドされたカーボンフレームでした。

選手用に開発された乗り味の違うカーボンフレームのバイクを、秩父の工場の周辺道路で試乗させてもらったことを覚えています。そのGDRのカーボンフレームの開発責任者は、日本の大手完成車メーカーでスチール、アルミ、カーボンのバイクの製品開発、製造機材の設計を担当していたエンジニアです。

もう一人の自転車部門の開発担当のカーボンエンジニアは、GDRのカーボンシャフトのスペシャリストで、契約プロゴルファーの要望に答えてゴルフクラブを、大会会場に設置したサービスカーで、1本1本仕上げるサービスマンの経験者でした。

当時の開発ラボでは、ステンレスラグとカーボンの接着、カーボンラグとカーボンチューブの接着、カーボンフロントフォークなどを開発、プロの使用に耐えるレーシング機材や、ホビーライダーのロングライドモデルをターゲットに、量産するまでのプロトタイプを模索している段階だったと思います。

カーボン繊維のしなりを生かしたフレームデザインを追求する設計思想が全てのフレームやフロントフォークに貫かれています。ライダーがクランクを踏み込んだ反力でダメージを受けることを配慮した、フレームの剛性の最適化をテーマに開発が進められていました。

カーボン繊維の特性を生かし、フレームに必要な剛性バランスを追求して調整しやすいラウンドチューブを基本的に採用しました。それはカーボンラグ&カーボンチューブの接着フレームでも、精密にラグとチューブをパート別に成型して接着する、セミモノコック構造のフレームでも同じラウンドチューブで基本設計されています。

フレームチューブには各パートに色々な方向から力がかかりますから、一方向にカーボン繊維を並べ、熱硬化する樹脂を含ませたプリプレグ(布)を何層か型に重ねて成型されます。GDRのチューブはマンドリルという芯金にカーボンプリプレグを巻き付けてオートクレーブで成型されています。もっともカーボン繊維の強度を引き出せて、調整しやすい製造方法です。

カーボン繊維のグレード、繊維の方向、カーボン繊維に含ませる樹脂の熱硬化後の強度、その繊維の方向でチューブが頑張れる方向が決定しますから、まさに設計者のノウハウが生かされる部分です。セミモノコック構造の場合は、型にカーボンプリプレグを張り付けて、真空引きや内圧をかけた状態で加熱して精密に成型します。型に張り込んで内圧をかけてオートクレーブ内で加熱成型される場合もあります。

大手メーカーを止めてサイクルショップを経営していましたが、GDRの開発者に転進しました。事業の休止の話しを聞いて心配しています。浪人中にウエリントンでの51.5kmトライアスロンの世界選の、日本チームのメカニックに誘って、一緒にやっていた仲間でもあったので、夜になって携帯へ電話してみました。

出ないので伝言を残し、夜遅くになってGDRのファクトリーでまだ働いていた開発者から電話がありました。近況や自転車界の状況を報告しあって、まだまだカーボン繊維の特性を100%生かせる、理想的な製造方法で量産化に取り組んでみたいと、カーボンフレームやカーボンホイールの開発に意欲があることを知りました。自転車事業の休止にぜんぜんめげていませんでした。

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