mixiユーザー(id:2759054)

2016年01月10日21:35

499 view

『黒い迷宮』、『闇を食う人びと』

2000年7月ルーシー・ブラックマンさんは
殺害されていた。
織原譲二は10月1日捜査線上に浮かんだ。
10月12日、カナダ人女性への準強制猥褻容疑で
織原譲二は逮捕された。
10月27日、ルーシーさんに準婦女暴行に及んだと
して二度目に逮捕された。
2001年2月ルーシーさんの切断遺体が発見された。
この事件は世間を騒がせた。

なぜ容疑者について行ったのか分からないと
知り合いが言った。
私は、容疑者は他の客と違い英語も堪能で
ストレートに話を運び、お金もあって大丈夫だと
思ったのではないかと言った。
ルーシー事件はバブルが終わった時点で起きたが、
バブル発生以前に、私は六本木のクラブでバイトを
したことがある。
水商売とセックスを結びつけていなかったから
バイトができた。
慰安婦性奴隷説が流布する前だ。
性奴隷説がピーンと来ないのは、外国人にセクハラ
されたことはあっても、日本人男性にされたことが
なかったからもある。

しかし、こうした考えがあまりにも浅はかだった
ことを以下の2冊を読んで知った。
『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件 15年目の真実』
People Who Eat Darkness: The True Story of a Young Woman
Who Vanished from the Streets of Tokyo and the Evil
That Swallowed Her Up
リチャード・ロイド・パリー著、濱野大道約、早川書房、 
2015年。
『ルーシー事件 闇を食う人びと』 松垣透、 渓流社、 
2007年。
ルーシー事件について知っているつもりだったが、
全く無知だったことを知ることとなった。
しかし、この2冊を読んで、さらに闇がひらけてしまった。
ともあれ、どこまで事件の外貌について知ることができたか
記録してみようと思う。
先ず、リチャード・ロイド・パリー氏の本を読もうと思ったのは、
ウィキィの頁に以下のようにあったからだった。
「日本のニュース機関というのは、どうも在日外国人などの
出自の問題になると、非常に神経質になる部分もあるようです。
時にはそういった出自を極力記事で書かないといったことも
あるようですし、それが記事の執筆を難しくさせるという
ことも感じています。しかし私にしてみれば、それは単なる
事実でしかない。彼の出自は明らかに在日韓国人なわけです。
ただ、それと同時に重大な犯罪で有罪になったという事実が
あります。在日韓国人であったことと、件の犯人であると
いうことは、すべて並列な事実の中の一つであって、その
事実を読者に知らせるために、それぞれ述べることに
関しては何の問題もありません」

これを読むと、容疑者織原城二は帰化した在日コリアン
(Kim Suong Jong 金聖鐘)であり、彼の父親は朝鮮半島からの
移民で戦後の動乱の波に乗って荒い手段で裸一貫から
財を成したことが書かれているのだろうと思うが、
そうではない。
織原城二の父親が移民ないし難民として日本に来ているが
朝鮮半島と日本との関係、併合後の歴史に関して日本が搾取した
植民地主義という紋切り型で終わっている。
ルーシー事件の被告人の父親を洗う方向には行かず終い。
当然ながら、朝鮮進駐軍には言及されていない。
また、コリアンが戦後の動乱以前からアナーキー活動ないし
テロを画策していたことにも触れられていない。
昭和天皇が皇太子時代に朴烈による暗殺計画は、その後の
関東大震災におけるコリアンによる強奪、放火などの導火線であった。
最初に強奪や強姦を朝鮮人が働き、自警団がつくられた。
犠牲になった朝鮮人もいた。しかし、日本人が全て悪いことに
戦後されてしまった。
犠牲者のなかには日本人もいたのに、いないかのような説話が
流布している。

『黒い闇』でパリーも日本人が自衛ではなく朝鮮人を殺害したり
したと書いている。
慰安婦も性奴隷という位置付けである。
パリー氏は本書の最後の方で「記憶、資料、仲介、サポート、
インスピレーション、調査、校正、翻訳、通訳でお世話になった
方々」に謝意を表している。

田淵広子氏の黒い影を感じざるを得なかったが、通訳と翻訳を
通じて日本を知る外国人ジャーナリストの宿命の一つかもしれない。
こうして最初に否定的な印象を綴ってしまったが、肯定的な
側面も勿論ある。

第一に、ルーシー・ブラックマンが生前はどのような人生を
おくっていたのか、お父さんやお母さん、妹さん、弟さんは
どんな人たちかを生き生きと描いている。
お父さんの浮気により、離婚してしまった両親。お母さんと
妹さんは仲が良くなかった。
ルーシーさんが仲介役をつとめていた。お母さんをなだめていて、
まるでお母さんと娘の関係が入れ替わったようだった。
ルーシーさんの失踪後、お父さんと妹さんが来日する。
沖縄でサミットがあり、ブレア首相に娘さんの捜索を森首相に
頼むよう動くお父さん。
藁をも掴む気持ちでオランダに住むという英国人に
ルーシーさんを連れ戻してもらおうと依頼するが、詐欺に
遭ってしまう。

遺体は10個に切られていた。
チェーンソーで切る際に血液が飛び散る。
ブルーシートを使っていた。
織原城二の住宅3か所が疑われた。
どこからもルミノール反応は出なかった。
ルーシー・ブラックマンさん事件の被告人である金聖鐘
Kim Suong Jongは本書では有罪にはなっていない。
本書は第一審のところで終わっているからだ。
第二審まで書いているのは高尾昌司著『刑事たちの挽歌』である。
こちらは捜査関係者を軸にしているが、遺族や被害者たちの
姿も描いている。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する