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2016年01月07日22:25

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ピェール・ブーレーズ逝き、『ハルサイ』を聴く

 1月5日、ピェール・ブーレーズが亡くなった。90歳だった。

 彼がレナード・バーンスタインの後を襲って(実際は2年程の音楽監督不在期があるが)、1971年ニューヨーク・フィルハーモニックのシェフに就任したというニュースには心底驚いたものだ。

 指揮活動は20代の終わり頃から行っていたらしいが、自分のなかで彼はあくまで現代音楽の作曲家であって指揮者ではなかった。

 その小難しい現代音楽の作曲家がスター指揮者バーンスタインの後任?名門オーケストラの元締め?ベートーヴェンなんか演奏したことあるのか??

 その懸念は見事はずれ、バイロイトに進出し世界の名門オーケストラの客演に招かれと、大指揮者の殿堂に歩みを進めていったのは誰もが知るところだ。

 ブーレーズの録音を最初に聴いたのは、ご存じストラヴィンスキーの『春の祭典』だった。1963年6月20日、21日にパリで録音されたものだ。オーケストラはフランス国立放送局管弦楽団(現フランス国立管弦楽団)。このレコードは発売と同時に、少々大袈裟に言えばセンセーションを捲き起こした。

 当時の『ハルサイ』といえば、マリケヴィッチとフィルハーモニア管が最高の名演とされ、他にはバーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニック、アンセルメとスイス・ロマンドあたりが推薦盤に挙げられていた。録音点数が今のように何十種類もあったわけではない時代だ。

 そこに登場したのがブーレーズ。それまでの演奏が大なり小なり原始の野蛮な祭典といった視点を外せなかったのに対し、ブーレーズはエックス線写真のように冷静に音楽を解いてみせた。今まで聴いたことのないサウンド!だったのだ。

 今日は彼を偲んでその『ハルサイ』を聴いていた。クリーヴランド管とのCBS盤が一般にはより知られた演奏だが、作曲家ブーレーズが指揮者にみごと変身してみせたこのパリ録音は何にも代え難い名盤だと思う。


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