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2015年12月24日12:31

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スペインの選挙結果に揺れるEU

日本のメディアが『スペイン与党PP(国民党)、選挙で第一党となるも過半数に届かず、連立工作も難航か』という程度の軽く結果だけの報道に終わっているスペイン総選挙ですが、今日のNYタイムズ紙電子版によれば、それはEUにとって動乱のこの2015年が、メルケル率いるドイツの孤立化とEUの中の亀裂拡大という厳しい状況で終わる結果になると警告しています。一読の価値ありと思い、要訳してみました。
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スペインの有権者は、ポルトガルとギリシャと同じ選択をした。
EUの債務問題解決のカギとして、EUとドイツと国際投資家が押し付ける「緊縮財政」に同調するラホイ首相率いるPP国民党に対して、スペインの世論の半数以上がNOを突きつけた。
このEU三国の総選挙で相次いで示された民意に、ユーロ圏19ヶ国と非ユーロEU加盟9ヶ国、計28か国が、今後どうやって団結を維持していけるのか、という難問にたじろぐ結果となっている。

スペイン総選挙の結果が出た直後、メルケル首相と友好関係にあるイタリアのモッテオ・レンツィ首相が「ヨーロッパに人気取り右派政治の台頭をもたらす危険あり」として、緊縮財政とメルケル首相への攻撃を始めた。

EU国内で燃え上がるこの不安は、ヨーロッパ統合に大きな亀裂を生んだドイツの財政再建処方箋に難民危機問題での意見の対立が加わった形で、ドイツ内に孤立感を生んでいる。
若者の間に左翼運動を拡げてきたポデーモス(Yes We Can)党が総選挙で第三党に躍進し、スペインでは二大政党政治の仕組みが壊れ、この流れはフランスにもイタリアや他の隣国にも波及するだろ、との声が上がっている。

スペインの選挙結果は、今のヨーロッパの混迷を反映いたものだ。自国の政策はドイツというよりもヨーロッパ全体の目標達成を目指すものだとして、過去数十年間ヨーロッパを牽引してきたドイツにとって大きなチャレンジとなるだろう。

ドイツ外交審議会のテンペル女史は「これは単なる緊縮財政や難民問題ではない。もっと深いところに問題の根がある。ヨーロッパで台頭しつつある人気取り右翼政党は、これまで何十年に亘ってわれわれが築いてきたもの全てを捨て去ろうとしている」と警告する。
一方、ドイツのスタインメイヤー外相は「難民問題がヨーロッパの亀裂を容赦なく露呈させた。財政危機の解決のメドも立たない現状で、大きな障害となっている。」と危機感をあらわにする。
これまで外相を含めたヨーロッパのエリート政治家たちが常に口にしてきた決まり文句は「危機が起こる度にヨーロッパは団結を強めてきた」というものだった。だが、今回はその外相も今までの歴史がそのまま今回も繰り返すとは言い難いと警告する。

市民の間に広がるEUに対する不満を埋める形で、フランスのルペン率いる民族主義政党が台頭している。オーストリアでも人気取り右翼政党が第一党に躍進した。
これに対して、ファッシズムの恐怖の記憶を引きずるスペインやギリシャ、ポルトガルでは過激な左翼政党が力をつけている。ヨーロッパでは今まで主流と考えられてきた政党が、一斉に支持を失いつつあるように見える。

最後に、前出のテンペル女史の言葉を続けよう。「強力な経済成長と難民危機問題が来年ヨ^ロッパが直面せねばならぬ課題であることは明白である。だが、これまで築き上げてきたものを守るための更に厳しい試練が、EUとドイツのリーダーたちを待っているのも確かだ。求められるのはスピードだが忍耐力も必要だ。もう自分たちを誤魔化す時代は終わったのだ。]

「世界はますます複雑化している一方で、各国の政治指導者はこの現実に対する影響力を失ってきている。この状況で、EUの官僚主義と国際投機家に対抗すると約束する人気取り過激政治家に有権者が惹かれているのだ。」というパリの調査機関の代表ラフォン氏の声も聞こえてくる。

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