僕が仁藤さんの存在を知ったのは、ツイッター。フォローしている人が
仁藤さんのツイートをリツイートしたから。
そのツイート等から貧困や家庭崩壊のため、意図せずして売春させられたり、
児童虐待を受けたり、ＪＫビジネスの商品として人権を踏みにじられたり
している少女たちのために救済活動などをやっているのを知り、
フォローさせてもらいました。
今回は仁藤さんの講演会があると知り、参加させて頂きました。
その中で、僕が特に印象に残った事を中心に概要を書いてみたいと思います。
（仁藤さんは、いくつか本を出されており、今日話された事のもっと詳細で
より深い内容や語り切れなかった事などは、そこに書かれています。）
（メモの書き取りを見て、この概要を書いており、その記載が
間違っている可能性もあるので、それを見つけた方は
ご遠慮なく、突っ込んで頂けたらと思います）
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○昨年の活動について
仁藤さん「昨年は８４人の相談を受け、そのうち５１人が虐待に関してでした。
そして５８人からＪＫビジネスに関する相談を受け、
２３人から個人売春、１７人から大人がバックに控えている
管理売春の相談を受けました」
「警察や児童相談所への同行支援をしたり、弁護士への相談を
行っています。性的暴行を受けた少女たちが警察で事情聴取
される場合、詳しい再現説明を求められたりして、心の傷口が
さらに広がったりしてしまいます。
また児童相談所では、少女が家出などをしていると
非行ととらえられかねません。
そういった事にならないように、サポートするために
同行しています」
「衣服や食べ物、生理用品等の物資提供などもやっています」
「食事提供もやっています。提供といっても皆で和気藹々と
料理を作ってます。料理を作る時に、料理の苦手な子と
得意な子に分かれます。
苦手な子は親がほとんど料理をしないという子が多く、
中には、親の手料理を食べた事がない子もいました。
逆に得意な子は、親にやらされて得意になる子が多いです」
「夜の街を歩いて、一人でいる孤独そうな子等にも声をかけています」
「性暴力にあった子や売春を経験した子、リストカットをやっていた子等が
信頼関係を築き、普段話しにくい事を、話し合える場所も作っています」
「虐待などで家庭に帰れない子等、緊急避難が必要な子には
一時シェルターを開設しています。今は、もっと滞在期間が
長いシェルターの設立を構想しています」
「様々な活動を通して分かった事は、彼女たちに一番必要なのは
信頼できる大人だという事です」
○仁藤さんの生い立ちについて
「私は高校生の時、些細な事から劣等性というレッテルを貼られ、
担任の先生との人間関係もうまくいっていませんでした」
「当時私は派手なカッコウをしていて、友達はもっと派手なカッコウを
してました。その先生は『あんな奴らとは付き合うな』と言いました。
『あんな奴らとは酷い』と私は言って、教室を出ていった事もあります」
「母ともうまくいっていませんでした。父は単身赴任して、たまに
帰ってくると、母に『お前の教育が悪い』と責めていました。
母はそんな父に『あなたも育児手伝ってよ』と返して言い争っていました。
そんな両親はやがて離婚。問題になったのはどちらが親権をとるかと
いう事。高校生だった私は、どちらかをとるという事に耐え切れず混乱し
判断できませんでした」
「高校生の頃の私と妹は反抗期で、一人での育児から母は鬱病を患いました。
私たちに厳しく接してきたと思ったら、急に優しく抱きしめてきたり
して困惑しました」
「やがて高校を中退しました。母が昼間働いている間に家で寝て、
夜、街に繰り出す。そのうちに、お金を稼ぐため、夜、メイド喫茶で
働くようになりました。私のように、家庭崩壊など似たような境遇で
夜の世界に入った人たちと出会いましたが、様々な裏切りに会い、
それらを見てきました。助けて欲しかったけど、手を差し伸べてくれる
大人はいませんでした」
「そんな私に手を差し伸べてくれたのが、中途退学者向けの予備校の講師を
やっていた阿蘇先生でした。やっと信頼できる大人に会えた気がしました。
先生は「農園」ゼミをやっていて、生徒達と農作業をやっていました。
私が初めて、先生の畑を訪れた時、ミニスカートにヒールでした。
先生は『そんなカッコウで農作業したらパンツが見えるぞ』って笑ってました」
「先生は子供と同じ目線で話してくれて、いろいろと話をしていく中で
私は本当はどうしたいのか？という考えがまとまっていき、
自分の中でグチャグチャになっていたものを整理できる
ようになりました。先生から『自分から殻を破れ』と
言われました。殻を破るために色々と考えました」
○売春、ＪＫビジネス、ＡＶ撮影について
「売春やＪＫビジネスやＡＶ撮影の酷いところは、女の子たちが人間として
扱われない事。髪を引っ張られたり、刃物で傷を付けられたり様々な
暴力を受けています。それに対し『お互いが契約のもとでやっているのだから
自由な商売契約で暴力とは言えないのでは』と反論する人がいます。
しかし、女の子を雇う方が金銭や暴力で圧倒的に支配しているのだから、
自由な商売では決してありません」
○最近、１６歳の少女が売春防止法で逮捕された件について
「逮捕された理由は �／討隆童遒防�していなかった
�⊇�の子の方から誘った �Ｍ靴峩睛澆靴気砲笋辰�
からだと、警察は発表。マスコミも警察の発表を、事件が起こった
背景を詳しく調べもせずに、ただ垂れ流しただけでした」
「もしかすれば、�，砲弔い討蓮�虐待等で彼女は家に帰れなかった
のかもしれないし、��にしても、家に帰れないなら、
ネットカフェとかにとまり、十分にお風呂とかに入れず、
着たい服も着られずに、ストレスが溜まっていたのかも
しれません。そのストレス発散に遊ぶ金が欲しかったという事も
考えられます。ですが、警察やマスコミは検証しようとしませんでした」
「日本は、買う側の責任はほとんど問われません。
売る側は勧誘したら罪に問われるのに、買う男の方は責任は問われない。
もともと売春防止法は、戦後の赤線地帯を廃止するために出来た
古い法律です。売る方の少女が勧誘したら補導されるのに、買う方の
おじさんたちの補導はなぜ無いのでしょうか？」
○ＮＧワード『自分を大切にしなさい』という言葉について
「私たちが、虐待や売春、暴力等で、心に傷を負っている子たちに投げかけては
いけない、ＮＧワードがあります。それは、
『自分を大切にしなさい』という言葉です」
「彼女たちは、ほとんど幼い頃から親や大人たちから大切にされた経験が
ないので、自分を大切にする方法を知らないし、自分を大切にしてくれる
基盤（※おそらく家庭や学校だと、僕は思います。あくまで僕の推測ですが）
がないので、逆に彼女たちを傷付けてしまいます」
「小さい頃から親から暴力を受けていると、自分を大切にする方法など
分かるはずがありません」
「信頼関係のない大人から言われると、彼女たちはその大人を
『別の世界の人間なんだ』と思ってしまいます」
「信頼関係が築かれていない大人から聞くこの言葉は、
彼女たちにとっては『発した本人がその人自身を大切にする言葉』にしか
聞こえないのです」
「今、私たちのところに相談にやってくる子は、不安や恐怖やトラウマ等から
眠れなくて睡眠薬を飲んでいる子が多いです」
○『２種類の大人』について
「貧困や家庭崩壊等で困っている女子中高生に、街やネットで声をかける
大人は大きくわけて２種類です。１つ目は売春を誘う大人。
２つ目はＪＫビジネスを斡旋するスカウトマンです。このスカウトマン
今では女性もやっています」
「私はメイド喫茶で夜の世界に入りました。その当時、１８歳以下は
風俗店やキャバクラで働く事を法律で禁止されていたため、
そういう業者が将来、自分のとこで働かせるためにメイド喫茶に
女の子を誘っていました」
「大人たちは勧誘のプロです。必ずといっていいほど
『友達も入れていいよ』と言ってきます。そう言われると
女の子も安心します。けれど、逆に、一緒に入ると
大人たちからどんな酷い仕打ちを受けても、辞めると
友達に迷惑がかかってしまうと思い込み、逃げにくくなります」
「事情を知らない大人の人から『酷い仕打ちを受けてるのなら、逃げれば
良いんじゃないのか』と言われます。が、相手はプロ。逃げられない
ようにするテクニックも心得ています。例えば、誰か一人女の子が
逃げた場合、残っている女の子の前で、ボスは手下の男たちに
『絶対に探してこい！探し出さないとお前たちをボコボコにするぞ』と
脅します。本当は見つからなくてもボコボコにされていないかも
しれません。ただの演技という可能性もあります。ただ、それを
見せられた女の子たちには確実に、恐怖心が植え付けられます。
そして逃げれなくなっていくのです。
このように大人たちは、様々な方法で女の子たちが逃げないように
圧力をかけてきます」
○日本の子どもの現状について
「昨年、日本全国で１０代の自殺者は５３８人いました。
私も今まで友達や後輩の中で３人が自殺しました」
「高校の中途退学者は年間約５万人。不登校は中学が約９．５万人、
高校が５．６万人。この不登校生徒の数の中には、保健室だけに
登校し教室には行かない生徒は含まれていません」
「虐待の報告は８８９３１件。年々増えています。これは私は悲観的に
受け止めていません。それだけ明るみになって、実態をより正確に
把握できるようになったと思っているからです」
「児童相談所で相談して、子どもを保護する必要があると判断された
場合、まず一時保護所というところで保護します。しかし
一時保護所の中には、（まるで監獄のように）細かい規則を
作り、それを守らせ、子どもを管理しているところもあります。
規則を破ったら、個室に監禁され、その中でただひたすら
漢字を書くように命令されるなんてところもありました。
このような実態をマスコミなどで公表しようとしたところ、
大人たちから公表しないように圧力をかけられた事も
ありました」
「児童相談所の職員は、中には親身になって子どもの事を
思ってくれる良い人もいますが、中には
相手が生身の人間の子どもだという事を無視して
ただ事務的な処理しかしない（機械のような）人もいます」
「売春を抜け出したいと思っていた女の子が金曜日の夕方、
児童相談所に相談を持ちかけたところ、『今は営業時間外
だから、月曜の営業時間内に再度相談しに来て下さい』と
言われたそうです。土日の２日間、彼女はどうすれば
良いのでしょうか？」
○日本の子どもの貧困について
「今、日本の子どもの６人に１人が貧困という統計が出ています」
「子どもたちが生活費欲しさに、下着を売って数千円稼ぐという事も
ザラにあります。こんな子に、大人たちは『そんな方法より、
もっとお金を儲ける事が出来る方法を教えてあげるよ』と
言って近づきます。そして大人が教えた方法が売春だったという
例もたくさんあります。
大人が子どもに売春を教えておいて、いざ売春が発覚すると
大人たちは『子どもが遊ぶ金が欲しかったから』と
責任逃れをするのが現状です」
「修学旅行費の約３万円が払えない子どもがネットで高収入の
日雇いバイトを見つけ、バイト先に行って売春をさせられた
という事もありました」
「貧困の子どもたちは栄養状態がよくありません。
歯が悪い子が多いです」
「今はアイドルになりたいと思っている女の子はたくさんいます。
そんな女の子たちの夢につけ込んで、『うちの事務所に
入れば、アイドルにしてあげる』と彼女たちに近づき、
高額なレッスン料を請求したりや、『ライブをするから
ノルマのチケットを売り切れ、さもなくば売れ残った分を補償しろ』と
言い寄る大人たちもいます。知的障害のある女の子が
ターゲットになりやすいです」
「生理用品が買えず、おばあちゃんのおむつで代用している子も
いました」
「１０代の予期せぬ妊娠は、年間２万件」
「私はたまに男の子の前でも講演する事があります。その時に必ず
言うのは『ＡＶはフィクションだ』という事です。
ＡＶでは、女の子に向かって平気で顔射したり、中出ししたり、
レイプしたり、髪の毛引っ張ったり、刃物で身体を傷を付けたり
しているけど、あれは全て暴力で、現実世界で同じ事をやると
女の子の心を大変傷つけるからやってはいけないと力説しています」
「女の子もＡＶに影響されていて、好きな男の子がＡＶのような
事をやりたいと頼んできたら、聞いてあげなきゃと思っている子も
たくさんいました」
「中高生の１０人に１人が自傷行為の経験者です」
○ＪＫリフレ・散歩について
（東京の某所の街中でお散歩の勧誘をする少女たちを取材した
ＶＴＲを流して）
「リフレは最近法的な取締りが厳しくなってきたため
お散歩の方に業者がシフトしてきました。業者は表面的には
性的な交渉を謳っていないため、なかなか取り締まる事が
厳しいです」
「このＪＫ散歩について９０人の女の子から相談を受けましたが、
そのほとんどが、大人の男性から性的交渉の話を持ちかけられた
そうです」
「先程見ていただいた街中で勧誘する少女たち。彼女たちの
約３分の１は貧困層。約３分の１が貧困層ではないけれど、
学校や家でうまくいっていない精神的に不安を抱える層。
そして残りの約３分の１が、貧困でもなく、家や学校でも
問題がない安定層。安定層の子はほとんど身体を売りません。
売るのが多いのがやはり貧困層。お金が欲しいから
ついどんどんと大人の要求に応えていき、最終的に
売春してしまいます」
「彼女たちをこの業界に引き込むのは勧誘のプロです。
貧困だったり精神的に不安を抱えたりして孤立している女の子を
見つけるのは彼らにとっては簡単です。孤立した女の子に
『俺は君の事を理解しているよ』と甘い言葉をかけてきます」
「よく大人たちの中には『身体を買いたい大人たちと、売りたい
女の子の需要と供給が合っていて、お互いの思惑が合った自由な
契約なのだから問題ないのでは』という人がいます。が、
それは間違っています。需要と供給で言えば、
売りたい大人と買いたい大人との需要と供給であって、女の子
たちは、その２者の間で取引されるただの商品にしか
過ぎません。これは紛れも無く人身売買です」
「今まで女の子たちのお話をしてきましたが、男の子もたくさんの
被害を受けています。例えば、振り込め詐欺の出し子や受け子。
また、雇用保険や保険・資格が無いのに建築現場で働かされて
いる子もいました。中には資格がないのに重機を操作している子も
いました。そして、福島の除染作業。１５歳の男の子を
除染作業に就かせているという例もありました」
「女の子の場合も、男の子の場合も、孤立している子どもを
見つけた大人が『行くところが無いならうちにおいで』と
甘い言葉をかけて、子どもたちの自尊心をくすぐり、
取り込むという手法をとっています。これらは
ほぼマニュアル化されています」
「最近ツイッターで気になる男の子がいます。その子は
高校中退でＪＫビジネスのスカウトマンをやっています。
彼は、大卒者を見返し、お金をためてビッグになるために
スカウトマンをやっていると呟いてました。そして、
自分を認めてくれる同業の先輩に恩返しするためにも、
もっとたくさんの女の子をスカウトするんだと書いてました。
それを読むと切なくなります」
「ＪＫビジネスは、システムが出来上がっています。
まず『スカウト』。街やネットで、孤立している女の子を
発見し、声をかけ、店を紹介します。
そして紹介先の『店長』。彼らは彼女たちの居場所作りの
プロです。彼女たちに衣食住を提供し、関係性作りの
プロでもあります。
そして系列店を束ねる『オーナー』。この３者が密に
連携して女の子を囲い込んでいます。
彼らのシステムを私たちは、大人たちのためではなく
子どもたちのために利用すべきだと思い、
参考に出来るところは参考にしようと考えています」
「最近は中学生を対象にしたＪＣや、小学生を対象にした
ＪＳなどの映像・画像が出てきています。紛れも無く
児童ポルノです。
１０歳以下の子どもが出ているものもあります。
そんな小さい女の子に性器の割れ目がはっきりと
出るように水着を着させたりしているものもあります。
中には、親が撮影したものまであります。
そんなものが好きな人たちから「これは児童ポルノではない。
ただの写真・映像だ」と批判されたりしますが、これらの映像は
ＡＶ等を売っている大人のおもちゃ屋で売られています」
○これからの活動について
「子どもにとって、大人とは環境問題そのもの。
その環境を変えていきたいと思います。
『女の子は好きで売春をやっているし、大人も買う権利が
ある』と思っている大人が多すぎます。そんな
環境を変えていきたいです」
「もともとＪＫとは、買春者が隠語として使い始めた言葉でした。
それが今ではブランドになってしまい、マスコミにも
堂々と登場しています」
（街中で活動するスカウトマンたちの写真を顔無しで映し出して）
「彼らは、声をかけて無視されても諦めません。次から次へと
声をかけています。私たちも、めげずに諦めてはいけません」
（終わり）
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日本の子どもたち、特に少女を取り囲む現状はたびたびマスコミにも
登場し、知識を得たつもりになっていましたが、仁藤さんの講演を聞き、
僕が知っている知識なんて、ほんの氷山の一角で、現状は僕の知識や
想像を遥かに越えるほど深刻で、おびただしい数の子どもたちが
苦しんでいる事が分かり、凄くショックでした。
責任ある大人として、何が出来るのか、もっと真剣に考え
なければいけないと思わされる講演でした。
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