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2015年09月17日17:30

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第40回湯布院映画祭レポート(16) 「歓待1.1」 シンポ

 
■29日(土)■ ≪ 「歓待1.1」 シンポジウム 13:30〜14:30 ≫

ほぼ満席になりました。
深田晃司監督の他、本作で大きく注目され、以後多くの作品に出演しかなり顔が売れてきた、俳優の古舘寛治さんがゲストでいらっしゃっているのです。

左から、司会者(若手の実行委員)、古舘さん、監督の並び。
窓から見える外は、小雨模様です。
古舘 「急きょ参加させてもらうことになりました」
監督 「お手柔らかにお願いします」

本作を撮ることになったきっかけについて。
撮影は2010年で、脚本は2009年に監督ご自身が執筆されました。
実は、その少し前に、30分の短篇を撮って文化庁の若手支援プロジェクトに応募したのですが、5人の枠に入れず落選してしまったのです。
「悔しいので、その5人より先に映画として完成させ、いやがらせしてやろうと(笑)、30分ものを長くして撮りました」
深田監督は、平田オリザの劇団 【青年団】 の演出部に所属しており、「歓待」 は同劇団の支援を受けています。

古舘さんは、映画やドラマで演じることの多い、ちょっととぼけたような役柄そのままな感じです。
ブルーレイが飛んだ件も、笑いにして触れたし、司会者が言葉に詰まった際にはすかさずいじって、これまた場内の笑いを誘い、司会の肩の力を抜いてあげたり・・・・と、さすがの芸達者ぶりでした。

ディレクターズカット版の 『1.1』 を作った訳について、監督は。
「元のものも、監督の私自身が編集してるんですけどね(笑)。 台湾の映画祭に出す際、編集をやり直してみたのが、この 『1.1』 なんです。 結果的に、オリジナルより10秒短いという珍しいディレクターズカット版になりました」

観客からの発言コーナーに移ります。
「古舘さんがいなければ成立しない映画でした。 古舘さん、最後まで気色悪いままで(笑)、それが見事でした」

私も訊いてみたかった ” 杉野希妃さんと組むきっかけ ” について質問した人がいて、監督が答えてくれます。
「杉野さんの所属事務所の上司の方と知り合い、打ち合わせをした時に同席していたんです。 プロデューサーとして紹介されたのですが、女優みたいな人だな、と。 後日、映画の話を持って行った際、女優という事を知り、出演してもらうことになりました。 あの役は、当初40〜50歳の設定でしたが、杉野さんに合わせて書き直したんです」

私が杉野さんのファンになったきっかけは、2008年に公開された篠原哲雄監督の 「クリアネス」 という彼女の主演作を観て、惹き込まれたせい。
が、杉野さんがどういう演技をするのか知ろうとする深田監督に、彼女は「 『クリアネス』 は観ないでほしい」 と言ったのだとか。
不本意な出演作だったのかなぁ。 私は、かなり好きなのですが。

結局、杉野さんの演技を一度も観ないまま、クランクインを迎えたのでした。
監督には、彼女の役を異邦人みたいな設定にすれば、多少演技が稚拙でも成立するだろう、との成算があったのです。
「結果として、上手くいきました」
杉野さんはメインキャストの一人として出演すると共に、プロデューサーも務めたし、上映してくれる映画館探しまで。 こういう女性に売り込みに来られたら、前向きに考えたくなるでしょうね。
監督は今、3つぐらい企画を抱えているそうですが、それには杉野さんは関係していないとの事。
「いつかまた、組みたいと思ってます。 女優として使いきれていない、との思いがあるので」
ぜひ実現してもらいたいもの。

客席からの発言は、どんどん続きます。
皆さん最初に 「○○から来ました○○です」 と簡単に自己紹介するのですが、滋賀、大阪、神戸、所沢、京都・・・・ と遠方の色んな地名が飛び交い(笑)、監督は驚いたように 「すごいですね、日本中から来られて」 と漏らされたのでした。
ほとんどの方が高評価。
それも納得の秀作でした。

締めの言葉として監督は、「ハッピーエンドですっきり終わる映画も好きですが、2〜3日経ってもまだ引きずっているようなものを自分としては作りたいと思ってます」
新作は、平田オリザ氏の戯曲を映画化した 「さようなら」 という作品。
東京では11月に、大阪・愛知では12月に公開されます。
岡山からだと近いのは大阪。 12月はちょうど 『青春18きっぷ』 が使えるので、スクリーンで観られそうです。

この拙レポでは上手く再現できていませんが、深田監督はかなり饒舌な方でした。
「さようなら」 が楽しみ。

 
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