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2015年09月14日19:15

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映画日誌「ふたつの名前を持つ少年」

 原題は  RUN BOY RUNだが、この方がふさわしいようで、ポーランドのユダヤ人収容所を脱走した少年の、どちらかと言ったらサバイバル・ドラマに近い感じ。
 父親からユダヤ人であることを忘れるなと言われたものの、ユダヤ人であることを隠すためにポーランド人のような名前を名乗り、放浪を続けながら、農村などで一時の糧を求める。
 途中、大きな不幸に見舞われ、一時は自棄的にすらなってしまうが、決して冷たい大人ばかりではなく、理解ある大人もいたおかげで、何とか生きる道を見出すことができる。
 生き延びることができたのは、キリスト教徒として振舞っていたこともあるが、次第に本当にキリストの寵愛を得ることが実感できたのか、キリスト教の洗礼を受けることにも、ためらいはなかったようだが、最後は結局ユダヤ人として生きる道を選択することになる。
 こうした変化は、子供だったこともあり、生きるためにやむをえないことだったろう。
 第二次大戦下のポーランドで、ナチス・ドイツ、キリスト教徒のポーランド人、ユダヤ人、さらにパルチザンが混在していた中で振り回された、一人のユダヤ人の少年のドラマで、やや当時の時代背景も知る必要があるかもしれないが、それでも、懸命に生きる少年の姿は感動的で、最後は何とか大人の世界に入る道を見出すことができたのにも安堵感が漂う。
 原作は児童文学らしいが、その分、地なまぐさも感じないし、さわやかな感動が得られる秀作といってよいだろう。
★65点
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