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2015年09月06日04:31

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肉子ちゃん・李香蘭・ルーズベルト

写真は順に
*「漁港の肉子ちゃん」西加奈子著/幻冬社文庫 表紙
*ミュージカル「李香蘭」チラシ
*原爆被爆70周年 終戦70周年 特別演劇公演「核の信託」チラシ

漁港の肉子ちゃん」は傑作だ。
およそ親娘モノに感動したことのないわたしが、抱腹絶倒ののちに涙した。
肉子ちゃんはスゴォォォォイのだ。
詳しい読書日記はこちらから↓
http://bambi-yuuki.at.webry.info/201509/article_2.html

李香蘭」は浅利慶太氏の企画・構成・演出作品。
浅利氏は劇団四季の創設者だが、現在は「四季」でなく個人名で公演を続けている。
チラシに出演者の名前が記載されていないのが驚きだ。
主要キャストがダブルキャストで、 Aがメインだとして、Bがいつ出演するのかは浅利氏の胸先三寸で決まるらしい。
Bキャストはアンダースタディー的な位置ということだ。
それでチラシに明確なキャストスケジュールをが記載できないから、という理由らしいが
役者からしてみれば甚だ迷惑な話だろう。
全公演に出演しているキャストもいるわけだし。
役者心理は関知せずな姿勢に反発を感じる。
で、わたしが観た日はたまたまそのBキャストだった。
わたしは浅利氏のファンでも四季のファンでも無いので、どうというとこもない公演だったと書かせていただく。
氏が描きたかったことはとてもよく理解できるが、わたしに何の感動も起こらなかったことは確かだ。
だいたい、わたしはミュージカルが嫌いだし。
そうは言っても「ライオンキング」も「キャッツ」もわたしは大好きだよ。
とても楽しい作品、それは認める。
けれど、わたし的には感動とか共感という部分からは乖離している。
そしてディスニー頼みな現在の「四季」のあり方に苦言を呈する浅利氏であるらしいのだが、それなら尚更「李香蘭」で感動させて欲しかった。
ただ、国内が安保問題で揺れているこの時期にこの作品の何度目かの再演をしたことの意義はあると思う。
戦後70年、日中戦争で日本の誤った国策がいやというほど描かれているから。

核の信託」はフィクションだが登場人物の中には何人かが史実にも登場している。
日本に原爆投下が決定される4ヶ月前、ルーズベルト政権下での物語。
核開発にたずさわった科学者たちの中で一人の身内が大統領と懇意だったことで、その人物が命を受け、核は国際連合に全面委託すべき、と時の大統領ルーズベルトに請願。
ルーズベルトも苦慮の末に承諾するがウラン鉱商人・サンギエの手によって水泡に帰してしまう。
創案は面白いのに上演作品は冗漫、すっかり退屈してしまった。
戦々恐々な状況なのに、緊迫感が薄い。
小説と脚本は表現方法が違うのだ。
クライマックスで劇的にしようとして、語りすぎて逆にリアリティが無くなってしまい残念な事に。
全体的にも原作をもっとつまんだ方が良かったと思う。
削る作業の大切さを痛感する。
原作者と演出家、双方の思惑、力のバランスがあったのだろうけれど、見せられる方の身にもなってほしい。
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