■２７日(木)■ ≪シンポジウム 「ゆずり葉の頃」 20：40〜21：45 ≫
席が埋まり、立ち見も出る中、監督と八千草薫さんが入って来られ、前の長テーブルの向こうのゲスト席につかれます。
左手から、サポート司会の野村正昭さん（映画評論家）、司会役の女性実行委員、八千草さん、中監督の並び。
最初のご挨拶は、
監督 「岡本喜八のかみさんです。 間違えて映画を撮っちゃいました。 難しい事は訊かないでください」（笑）
参加者の人数が多いのと、客席との距離がすごく近いのに驚かれているご様子。
八千草 「こんなこと初めてで。 いっぱいの人が来られていて、緊張しています。 よろしくお願いします」
中監督は、第７回の本映画祭（1982年） で岡本喜八作品 「キッドナップ・ブルース」 が上映された際、プロデューサーとして参加されたことがおありになります。
当時はシンポジウムが恐かったので、今回びくびくしながらやって来られたのだとか。
この映画が作られることになった経緯について。
監督 「昔、シナリオを書いていたんですが、子供も出来て、止めたんですね。 今回、久しぶりに書いてみて、八千草さんに読んでもらうと、『す〜っと読めた』 との反応が返ってきて。 それが嬉しくて、映画にしたいとの思いが湧いてきた、という訳です」
ふと気づくと、毎年この映画祭の取材に訪れ何本もの映画ニュースをネットで発信してくれている 『シネマトゥデイ』 の壬生さんが、斜め前の席で取材活動をされているではないですか。
シンポが終わったら、ご挨拶しなければ。
悪人が一人も出てこない点を訊かれると。
監督 「私も、もうじき８０歳。 最後ぐらい、人を信じて、そういう映画を作ってみたいと思いまして」
こんな事も語られました、「喜八は、宮大工の息子なので、ああ見えて凄く緻密に映画を作っていたんですね。 私などには、とてもあんな真似は出来ません」
劇中で八千草さんがお召しになったお着物は、ご本人の私物なのだそう。
監督 「予算がないので、ご自身のものを着ていただきました。 撮影の日がかなりの雨で、着物が濡れたらどうしようかと心配してました」
音楽を担当したのは、山下洋輔。
なのに、監督は 「ピアノソロで音をつけて下さい。但し ” ジャズにならないように ”」とのひどい要求を出したとの事。
結果、山下さんはこの挑戦を楽しみ、氏も監督も満足のいく音楽が出来上がったのでした。
昨年ゲストで来られた仲代さんは、「ご自分の作品の中でお薦めの１本は何でしょうか」 と問われ、あれこれ喋りながら考えて、「切腹」 のタイトルを挙げられました。
同じ質問を、八千草さんに投げかけます。
「それぞれに思い入れがあるので････」 と、はっきりとはお答えになりませんでした。
八千草さんらしい、と感じます。
ただ、「 『しゃべれども しゃべれども』（2007年５月公開／平山秀幸監督） は好きな作品です。 落語が好きで、やってみたかった、というのもありますし」 と、付け加えられたのでした。
思わず、心の中で膝を叩きました。
本作を編集されたのは、今年は 「この国の空」 の正式ゲストとしておいでになる洲��千恵子さんなのです（昨年は自腹でご参加）。
私も大好きな作品で、主演の国分太一くんが劇中で演じた落語の完全版を聞きたくて、特典映像付きのＤＶＤを購入したほど。
平山監督がちょうど２００７年にゲストで来られた際にもこの映画についてたくさんお話ししましたし、２００９年に 「ばかもの」 の編集者として洲��さんがゲストで初参加 （2005年には一般客として初参加） された際にも勿論話題にし、ぐっと打ち解けるきっかけとなってくれた大切な一本なのです。
嬉しいなぁ。
明日か明後日に洲��さんが来られたなら、忘れずお伝えしなければ。
映画をしっかりと観られなかったためシンポの話題にもピンとこないものが多く、少なからず落ち込んだのですが、最後に素敵なご発言をお聞きして、いっぺんに元気になりました（笑）。
予定の時刻に終了。
中監督と八千草さんを拍手でお見送りした後、一般客が退場します。
斜め前の席の壬生さんに声をお掛けして、簡単にご挨拶。
この後は、バスで会場を移動して、２２時よりパーティーが開かれます。
八千草さんも出席してくださるでしょうか。
しまった、シンポの席が奥だったため混み合ってなかなか出ることが出来ません。
バスがいっぱいになり、第一便には乗れず、折り返しての第二便を待たなければならないかもしれません。
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