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2015年08月31日12:02

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グラウンディングと鉄 その4 赤い血、青い血

 このところ、赤という色が、人間の生理的な身体においてどのような部分で関与しているかを、ゆっくりと見てきています。そして赤血球の赤さと、ミトコンドリアの赤さについて触れてきました。(ちなみに赤血球というのは酸素運搬に特異化した細胞で、ヘモグロビンをできるだけ詰め込むため、成熟すると、核やミトコンドリアを失ってしまいます)

 けれども、動物の血液が赤と決まっているかというとそうではないのです……なかには流れる血液が青い生き物たちもいるので、赤の話を進める前に、そのことを少し紹介しておきたいと思います。

 水中に住んでいるイカやタコなどの軟体動物や、エビや蟹などの甲殻類などの血液は青いのです……それは彼らが、酸素を運搬するための物質として、鉄ではなく、銅を選び取った結果です……。彼らは鉄を主成分とするヘモグロビンという物質の替わりに、銅を主成分とするヘモシアニンという物質を用いて酸素を運搬しています……。

 つまり生物が酸素を運搬する道具として選ぶのは物質は鉄だけではないということなのですが……ただ、銅と酸素の結びつきの強さは、鉄の場合と比べて弱いので、エネルギー効率という観点から見ると、赤い血液の10分の1位にしかならないという弱点があります……。

 要は、酸化によるエネルギー抽出というのは、ゆるやかな爆発を利用するわけですから、酸素と引き合う相性が高いけれど、爆発をして細胞を壊すほどではないものを運び屋に選ぶ方が効率がいいわけです。

 そして、そうした視点で見たとき、鉄が最も効率のよい、ハイリスク・ハイリターンな物質だということになってくるので、高等動物たちは、みな運搬屋として鉄を採用することになったわけであり、そうすることで、タンパクを間に挟んだ鉄と酸素との微妙な触れあいが起こり、我々の血液は鮮やかな“赤”を発色してくることになります。

 さて、ではここでミトコンドリアに話を戻してみます……赤血球の赤さが、身体で最も反映されるのは、血管がたくさん集まってきている場所だというのはすぐに想定できると思いますが、実は、ミトコンドリアの密度の高さによっても器官は赤さを増すということも、心に留めておきたいポイントのひとつです。

 ミトコンドリアというのは、細胞単位でエネルギーを生みだしている暖炉、カマド、ガスコンロのようなものですから、たくさんのエネルギーが持続的に求められる組織や臓器などでは当然、需要が高まってきます……そして実際、通常は1細胞当たり数個のミトコンドリアが、肝臓や心臓など仕事量の多い臓器細胞の中では1細胞当たり数千個にも及ぶことがあると言われています(実はこのようにミトコンドリアを1個、2個と数える方式には問題があるのですが、それはあとでまた述べます)

 また筋肉には瞬発力を発揮するときに使われる白い筋肉と、スタミナや持久力を求められるときに働く赤い筋肉があるのですが……スタミナを表す筋肉の赤さもまたミトコンドリアの数を反映したものであることを記憶の隅に留めておきましょう。

 だから海洋を延々と回遊するマグロはミトコンドリアが多い赤身であり、海底に潜み瞬発力を使って捕食するカレイやヒラメはミトコンドリアが少ない白身なのです。同じく、持久力が求められるマラソン選手は赤身の筋肉を鍛え、瞬発力を求められる短距離ランナーは白身の筋肉を鍛えることになります。

 人間の臓器で言えば、求められるエネルギーが多い肝臓や心臓は赤身であり、また脳もそうなのですが、脳は脂身が多いので一見すると灰白色に見えます。


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