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2015年06月10日00:12

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お話の国その3 童話

 『おかし王国』 風かおる
 王様が、重い病気になって、5才のむすこのターユが、新しい王様になりました。  
 この王様、おかしばかり食べて、ちっともごはんを食べません。
「ごはんをおめしあがりください」
 大臣は、うるさく言います。
 王様は、つごうのいいことを考えました。
「この国を、おかし王国にしょう!」
 王国のきまりはつくられました。  
『おかしのほかは、食べちゃだめ』
『コーラとサイダーはいいが、牛乳はだめ。フルーツはおかしといっしょならいい。』
『王様の、きらいなおかしは、作っても、食べても、だめ』
 それに王様は、はみがきも、きらいです。
『はみがきをした人は、ろうやに入れます』
 きびしいきまりは、おふれになりました。
 天文台の丸いアンテナのような、大きなスピーカーで、国中の人たちに、放送されました。
 カレーライス・ハンバーグそれにお子さまランチは、どこへきえたのでしょう?  
 かわりにレストランでは新しいメニューが、できました。
「ぼく、きょうは、チョコレートパフェのフルコースだい」
「わたしは、お子さまプリンアラモードランチよ」
「パパは、いちごショート定食ココアつきがいいな」
「ママは、あんみつランチ。うーんと甘いの
をおねがい。」
 アンパンを作っていた、パン屋が、たいほされました。
「アンパンは、おかしのパンなので、おかしです」
 パン屋の、いいわけは、とおりません。
「アンパンは、王様がきらいなので、作ってはいけません」
 さいばんかんは、はんけつを出しました。
「まんぷくの刑にします。アンパン一万こ」
 パン屋は、ろうやに、入れられました。
 朝ごはんもアンパン、お昼もアンパン、夕食もアンパン。三時のおやつもアンパンです。
 おまけに、ろうやで食べるアンパンは、フライパンよりも、ずっーと大きいのです。
そんなアンパンを、一万こも食べてしまわないといけません。
「げぼ。げぼ」
 パン屋は、アンパンを、はきだしました。すると、また始めから、数えます。
 「一こ。二こ。三こ。……」
 ついに、おふれに、さからうものは、ひとりも、いなくなりました。
 おとなも、こどもも、おかしばかり食べて、
はみがきはしません。
 おそろしいことが、おこりました。国中のみんなのお口の中は、むし歯きんに占領されてしまいました。
 むし歯きんは、みんなのお口の中で、いろいろなゲームをやりはじめます。
 王様の、お口の中は、サッカーです。
「いたいよう。いたいよう。えーん。えーん」
 ばいきんボールを、けるたび、どんどんいたくなります。
 大臣は、ビキニ王国から、フランス人の歯医者をよびました。
 ちりょうがはじまりました。歯医者は、お口の中にむかって、大声でさけびます。
「オーレ。新しいサッカー場を、作ってあげるから、出ておいで」
 むし歯きんは、あかんべぇをしました。
 おこった歯医者は、げんしばくだんを、王様の口に、投げ入れます。
 こわいげんしばくだんは、絶対に使わないと、みんなに、あれほど約束してたのに……。
「ピカドン」
 大きな音がして、白いきのこ雲が、まいあがりました。
 王様の歯はのこらずぬけたのです。
「イテェー」
 とても、いたかったのです。
 あまりのいたさに、勇太は、目をさましました。眠っている間に、むし歯が、いたくなったのです。
「ぼく、もう好ききらいは言わない。ママのつくったごはん、きちんと食べるから」
 ママは、笑顔になりました。
「それじゃ、牛乳も飲めるかな」
「大きらいだけど、がまんして飲む」
「それじゃ、勇太くん。はみがきは、どーするのかな」
 ママは、やさしく、たずねました。
「ぼく、王様の役、いやだもん」
 あーら、ママには、なんのことやら。
ふしぎ、ふしぎ。
 一日三回、食べたあと。三時のおやつのあとに一回。寝る前にもう一回。 
 勇太は、すすんで、歯をみがくように、なりました。
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