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2015年05月25日11:56

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『2010年双子誕AnotherStory』第6話

mixi運営事務局からエロはいかんと言われたので話が飛びます。第6話です。でもこれもちょっとエロ。

『2010年双子誕AnotherStory』第6話


 朝の光の中で、カノンはシーツに包まれた体を憮然と寝台に横たえていた。
 体が重い。足腰にも力が入らない。
 そしてその原因になった男は目の前で、シャワーを浴びた後の濡れた髪を平然とバスタオルで拭いている。
「カノン、朝食は?」
「…いい。食欲がない」
 恨みがましい目をアケローオスに向けるが、「誰のせいでこうなったと思ってる」と文句を言っても、「あれほど何度も、もうやめろ、と俺は制止したぞ。それを聞かずにねだり続けたのは誰だ?」と言い返され、答えに詰まってしまったのだ。
 交わっている時は苦痛に思われるほどの快楽を味わわされて、もう満たされたと思うのに、離れてしまうと途端に物足りなさを感じて、もう一度、とねだってしまう。たった一晩抱かれただけで、自分の体がすっかりこの男に作りかえられたような気がする。
「今日はどうする? サガに会いに行くのは、明日の午後だろう?」
「う〜ん、どうしようかな…」
 カノンの休暇は明日まである。ラダマンティスとの予定がキャンセルされ、丸々一日、空白になってしまった。
 そう。本当なら、この男ではなく、ラダマンティスと過ごすはずだったのに…。
『何やってんだ、俺…』
 いまさらながら、自分にため息が出てしまった。
「あんたの今日の予定は?」
「これといって無い。サガの顔でも見て、家に帰ろうかと思ってる」
 そう言って脱ぎ捨てたワイシャツに袖を通してはおったアケローオスの背に、カノンは抱きついた。
「だったら、今日はずっとこうしてたい」
「…まだ足りないのか?」
 あきれたようにアケローオスが言う。
「暇なんだろ。付き合えよ」
「そう暇でもないがな。夏至祭の準備がある」
「一日くらい、いいだろ」
 ねだるカノンにアケローオスから返ってきたのは、苦笑だった。
「分かった。…俺の下であえぐお前の顔は、最高に可愛いからな」
「おま…っ!」
 羞恥で頬を紅潮させて言葉につまったカノンに軽くキスをし、アケローオスはワイシャツのボタンを閉め始めた。
「適当な軽食を買ってくる。どうせ後で腹が減ったとうるさく言うに違いないからな、お前は」
「…ん」
 身づくろいを終えて財布を手に部屋を出て行くアケローオスの後姿を見送ると、カノンは寝台の上に横たわった。

 こうして二人は、その日一日をホテルの部屋にこもって過ごした。
 どちらも服を脱ぎ捨てた自然の姿で、同じベッドの上で。
 何気ない話をしたり、抱き合ってうたた寝をしたり、軽いキスを顔にしたり…時に思い出したようにカノンが求めると、アケローオスはそれに応じて彼と体を重ね、愛を交わした。
 太陽が沈んで暗くなったころ、二人は別れた。聖域に寄ってサガの顔を見てからアケローオス河に帰ると、河の主が言ったからだ。
 次にいつ会えるか、再会の約束をすることはなかった。もう二度と会えない可能性もある。会ったとしてもこのように体を重ねるとは限らない。そういう仲で良いと、カノンも考えていた。愛されているのを感じられれば、それで十分だったのだから。

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