mixiユーザー(id:6972928)

2015年05月19日16:42

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知ったかぶり

つぶやきにちょろっと書いたが、
コミュニティの場合は見ないで放置しておけば
わたしになんの実害もないのでok。

他人のつぶやきスレも類似。

でも、わたしのつぶやきに知ったかぶりで絡まれると
それは困ったことだ。

#今日のつぶやきは、この日記に記すわたしのつぶやきへの干渉の件ではない。
#マジで他所の嗤いごとのことね。


昨日、「プラスティック・メモリーズ」に登場する

「ギフティア」

というアンドロイドの寿命設定に関するつぶやきで

> 姿勢スラスタの推進剤で寿命が決まる静止衛星?

と記したことに、某所から個別コメントがあった。
要は

「わけの分からんことを言うな」

ということで、

コメンテーターによると
衛星の寿命は内蔵電池などの部品の耐久性の問題だそうだ。
大気に守られない宇宙線にさらされると
化合物や半導体の劣化が激しいから、
地上のような長寿命じゃないんだってさ。


ま、そういうの「も」あるんだろうな。
特に最近の安物衛星は。

でもな、
わたしの話は、後に某社に技監として招かれた
元NASDA(=「宇宙開発事業団」で、現JAXA)研究者(責任者レベルの結構有名な人)
ご本人から伺った話しである。

静止衛星ってのは地球の自転と同角速度で衛星軌道上を公転するので
地上から見れば「静止しているように見える」から静止衛星である。

しかし、実際の衛星はそうそう理想的な位置に留まってくれない。

等速円運動のマクロ力学上の方程式が

f=mr(ω**2)

であることは、多分中学か高校の理科/物理系教科で出てくると思う。
ま、部分円の図を書いて向心力(=地球の引力)fにおけるΔvの計算をすればすぐ分かる。

運動方程式 f=ma であり、ここではa=g(gは重力加速度)なので
両辺から衛星の質量は省かれ、
等速円運動の条件は半径と角速度にのみ依存する。
角速度は自転速度に固定されるので、
最終的には「運用高度のみ」で静止条件が与えられる

静止衛星を狙った高度(つまり半径-地球の半径)に上げて
その時の角速度ω(つまり、地球の自転速度に同期する速度)に到達させれば
衛星の大きさに依らずに静止衛星が出来上がるのだが、
ということは、
「静止衛星」ってのは「どれもこれも同じ高度にとどまる」ってことである。

これがまたやっかいで、
近接する他の静止衛星が落としたゴミを拾ってしまったり
低高度衛星や高高度衛星から脱出速度や大気ブレーキで
上がったり下がったりしてくる小さいゴミにもぶつかってみたり、
極小さいゴミにでもぶつかれば反作用で飛行速度は変わる。
そもそも、そんなに厳密な高度に固定できるかというとそうではないので、
実は完全な「静止」なんぞはしておらず、
静止衛星は上がったり下がったり、東にズレたり西にズレたりしている。

それを定期的に地上の管制局から
どちらにいくらズレたか観測し、計算して
衛星に搭載している姿勢制御スラスタを噴射して補正する指示を出し、やっと

「見かけ静止」

を達成しているのが現状である。

衛星をちょろっと動かすモーターは、圧縮推進剤を少しずつ吐き出して使うスラスタである。
燃焼を使うロケットモーターでも、搭載燃料や推進剤には限りがある。

有限推進剤問題の解決策には
NECがやってる例の地球帰還型「はやぶさ」に用いられた
イオン推進エンジンというのもあるが、
瞬時推進力が極めて弱く、大気圏ではすぐイオンが再結合して使えないし
衛星の位置補正を行うエンジンにはまだまだ適さないそうな。

なので、静止衛星は、
部品耐久性なんぞより遥かに早く尽きてしまう程度の搭載しか出来ない
推進剤を使い切る前に
少し残した状態で「寿命」が設定される。

少し遺すのは、最後に地球に落下させて燃やしてしったり、
加速して脱出速度で外宇宙に飛ばしたり、
地球じゃなく太陽の公転機にしたりで「処分」するためだ。

こういう事実も存在するのに、

> 姿勢スラスタの推進剤で寿命が決まる静止衛星?

この一文を真っ向から否定できるその精神がワカランわ(嘲)。


因みに、上記の衛星寿命が主にスラスタの残量で決まることが伺える事象が
かつて日本の静止衛星にあった。

1995年に打ち上げられた気象衛星「ひまわり5号」の
設計寿命は5年であった。

しかし、代替機となるはずの「みらい1号」が1999年の秋に打ち上げ失敗に終わり、
ひまわり5号はその後、設計寿命の倍に至る
2005年半ばまで気象観測およびその補助業務を継続している。
機能部品としての寿命は衛星寿命でないことを良く表している事実だ。

このひまわり5号、
2003年にはカメラの安定走査に問題を生じ
全周観測撮影ができなくなったことから主たる観測業務を断念し、
その後、完全に運用停止するまでの2年間は
アメリカの衛星を借りて観測した画像を中継するトランスポンダとしての
運用に限って継続利用された。

後継機は、欠陥ロケットと言われたH-II型の重なる失敗のためなどで
H-IIA型ロケットに依って2005年早春に上がる「ひまわり6号」まで
延び延びになった。

ひまわり6号は既に主業務からは外れているようだが、
過去の5号とみらい1号の問題から
予備機として待機業務に就いているそうだ。
現在の主業務はひまわり7号、及び、昨年秋に上がったひまわり8号に
移りつつある。


システム設計というのはそういうものである。
一般人の「常識」程度で推し量れるような浅いものではない。

何でもかんでも部品が壊れるまでが耐久性ではなく、
地上を走る車だって、
現実的にはまだ実走するのに廃車するではないか。

壊れてからでは困る、というリスクを持つシステムってのは
皆の浅い知恵だけでは測れないところに条件設定があるものだ。

そういうシステムに限ったことではなく
何でもかんでも、「常識」と思い込んでいるレベルで
よく調べもしないで他人に嘘情報を押し付けるものではないよ。
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