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2015年05月15日07:31

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「桃次郎・考」阪田寛夫

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 『我等のブルース』阪田寛夫(1975年4月15日新装版第1刷三一書房)に、「桃次郎・考」が収録されています。「再版あとがき」によると、《「月刊自動車労連」に連載した童話「桃次郎のおはなし」を改題》して入れたとあり、1969年の初版には入っていなかったそうです。
 《私が小学校三年か四年の夏、二つ年上の姉がキリスト教会の日曜学校のキャンプに行って、「桃次郎」の話を聞いてきた。》ことから始ります。

  桃次郎は桃太郎の弟だ
  ところが、頭に角がはえていた。
  桃次郎は鬼が島の松の根っこに腰かけて、毎日泣きながら角をけずる。
   やすりで角をすりへらし
   人間の子になりたいな……
  こんな歌をうたって削っている。

 桃太郎に殺された鬼の子どもたちが残っている島で、その子たちの食べ物を横取りして食べたために角が生えてしまった桃次郎が、
  あーあ あーあ
  アイスクリームがたべたい
  シュークリームが食べたい
  テレビのマンガもみてみたい
  ここは岩山 鬼が島
  空はかんからかんで  
  波はどんがらがんで
  つめたい風ばかり……
と歌い、人間にもどりたいと泣きながら角を削っているというおはなしです。
 なかなかよろしいですよ。

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