こーいう箱型の補聴器が私が生まれて初めて着けたやつだった。メーカーはリオネット。単三電池一本で動く、ダイヤルで音のボリューム調整をするタイプだった。左右とも装着したので、二個必要だった。
で、両胸ポケットのある服はサファリ仕様とか作業服とかしかないから、私以外のコドモは以下のような手作りの吊り下げバンドをこさえてもらっていた。
我が家は母親が自由人だったので(つまりめんどくさがりだったので)、祖母が用意した。しかし祖母は芸者上がりなので恐ろしく不器用であった。用意されたものはなんとブラジャーを改造したもので(ご丁寧にワコールだった)、当然私は泣きわめいて全力拒否した。シャツの丸首のところに一個、もしくはニ個無理矢理差していたので、シャツはすぐ伸びてしまった。こーいう幼少体験から現在に通じる能力が三つ生まれた。
即ち、
�―�性の下着に詳しくなった。
�⊆蠏櫃�上手になった。
�J篦梓錣鬚覆襪戮�着けなくて済むよう、読唇術を身につけた。
時代が進んで中学一年になって耳かけ式になったのはほんとうに幸運だったと思う。
現在でも使用している耳かけ式は何よりも忌まわしいブラジャーのような吊り下げバンドを着けなくてもいい。それが思春期の男子には何よりも大きかった。
デメリットはズバリ、着けたまま雨のなかを動けないことと、風呂、プールに入れないことである。そして汗に非常に弱い。そのおかげで何個もダメにした。ゴム製のカバーを装着することもやってみたが、余計故障の原因になるだけであった。
なぜ今回補聴器の今昔を回想しているのかというと、障害支援課の援助抜きで完全オーダーメイドで、初めて私の耳に合う耳穴式の補聴器を注文したからである。
シーメンスのニトロだ。
https://www.bestsound-technology.jp/products/ite/nitro/
片耳で26万円だから、二つで52万円。即金で支払った。
店で試してみたが、90デジベル単位の感音性難聴である私にとって、耳かけ式の三倍くらい聴こえがよかった。ドーム型ヘッドホンをするとハウリングが起きるのだけれど、それもない。相手の声が聴こえて、唇も読めて、コミュニケーションはバッチリ。そして自分の声がハッキリワカるというのも大きい。調節して喋ることが出来るからだ。
技術の進歩は素晴らしい。
そして今の若いヒトがいきなり耳穴式を使えることに嫉妬する。音楽を私以上に自然に愉しめるし、何よりもセックスで相手の嬌声を楽しめるではないか!
もっとも相手の嬌声を自然に楽しめていたなら、今の私は存在していないのだが。
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