2010年のプロ野球セントラル・リーグ。
ペナントレースを争う大一番で、甲子園球場の伝説になるに違いない大ホームランをかっ飛ばした仁藤 全(あきら) という選手がいた。
が、彼は、その年限りで阪神タイガースを引退する。
取材者に対して、仁藤に関係する人たちが彼について語っていくという形式をとった野球小説である。
熱狂的なタイガースファンなら、泣いて喜ぶだろう。
一般的な野球ファンにも、たまらない一冊だ。
仁藤から招待され甲子園のバックネット裏席に座る仁恵という女性が叫ぶ 「かっとばせ〜、に、と、お〜!」 の声援には、電車内だというのに視界が涙で曇ってきて困った。
ラストも、程よく心憎い。
1年に1冊ぐらいは、こういう野球小説の好著を読みたいものだ。
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