異動先にて

もちろん、初めて出会う人たちばかりなので、第一印象を色々言われるのだけれど。
色々言われるのだけれど、大抵は同じ事しか言われない。

異動先では営業、外回りに復活したので、名刺を200枚は余裕で配っている程に回っている、これからもっと回る。
今回の異動は、異動先の利益を改善させるための梃入れとして投入されたのがぼくなのだ。

出会った人の第一印象として最も簡単にぼくの事を言い表すと「まじめ(すぎる)」
業務で言うと「銀行員」「お役所さん」そう言われる事が多い。

けれども、出会ったばかりの水商売の女の子に言わせると、ほんの30分、もしくはそれ以下の時間話しただけで「苦手なものってあるんですか?」「こう言うキャラの人は初めて」と、言われる。
全く人見知りをしないのと、いきなり膨大な話題、ネタでもって場を盛り上げ出すので、ある種テレビのバラエティ番組の様な雰囲気にその場をし、そこに居る誰もが出演者、と言う状態を造り出す。

が、客先の事務所では、膨大な話題やネタを振りまかない事が多い。
正直な話、それだけの事について来れない人が多いからだ(経営者は別)。
水商売の女の子は、女の子たちも膨大な話題を持っている。
けれども、まず普通の人と言うのは限定されている事が多い。
批難ではなく、それが普通なのだが、生活の視野や行動範囲が限られていて、その人の持つ興味は限られている、普通の人はほんの僅かしかないと言って良い、下手をすれば殆どの物事に興味を持っていない人も結構居る。
その興味が何処に在るのかを見極めるのは、限定されている事は簡単に見極められても、特定するのには少し時間が掛かる。
安易に限定して、興味の無い事だったり、嫌悪してしまう事を繰り広げてしまってはマイナスに繋がる。
また、どれだけの話題を提供しても、楽しめず、理解出来ず受容出来ないのであっては、無駄どころか害になってしまう。

また、今度の営業所は、はっきり言って田舎だ。
田舎だと顕著に限られてくる。
人づきあいも世間も地域も視野も、物凄く狭い、狭いが、狭い中で完璧に完結されている、そう言った意味では非常に高度な人間社会が出来上がっている、余所者は疎外される。

それを(意図的に作り出されている人ではない限り)、誰でも瞬時に見極められる能力がぼくにはある、超高感度センサー、アンテナを所持し、それらを読み取る能力がある。
物凄く簡単に言って、人見知りなのかそうでないのかが見てすぐにわかり、その人に必要な振る舞いを行う事が出来る。
これは、このミクシィの付き合いと某コミュのやり取りと書き続ける事もおおきなきっかけのひとつとなり開花した。
もともと持っていないと開花もしないし、望んでいたものでもないけれど。

もちろん、間違っている事もあるし、それ以外の力、ステータスやネームバリューもある。

けれどもそれで自信をもって接する事が出来るのは、仕事の実績で現せていたからだ。
間違っても行く事をし続けた結果、売上実績日本一(社員コンテストは全国四位だったけれども、実績は全国一位)を何期か出し続ける事で、証明している。
売った実績、これは、相手によるので、言葉で説明するのは困難だ。
「その時売れる相手に売れる物を見極めて売ってくる」
そうとしか言えない。
これが出来れば物は売れる、出来なければ売れない。
それだけの事だ。
人づきあいに言い換えれば、その時好かれる相手に好かれる事を見極めて好かれるように振る舞う事、だ。
これが出来れば詐欺師にだってなれるし、出来なければ、嫌われる、もしくは興味や関心を持たれない。

結婚詐欺師が最もなりやすいかもしれない、物は要らず誰もが持っている心があればいいし、人間、愛に弱いし、騙されても本当に訴えない程に愛してしまう。

ぼくが結婚詐欺師をしたら本当に結婚してしまい、詐欺師ではなく、方々で重婚罪が適用される気がする。
それも結婚詐欺師って金銭目的だろうけれど、ぼくは何目的で詐欺するんだろう。
愛か体か、興味か、好奇心か、うーん。
相手の愛情の行き場であるために詐欺と言うか、ひとつの停留所のような場になれる人間ではあると思う。
みんなが次のバスや電車やタクシーが来るのを待てる場所。
そう言う信号を発しても居るのだろうし。
ただし、ぼくが終点ではない、ただの停留所。
話があちこちするけれど。

あいつはこんなさびしい停車場を
たったひとりで通っていったらうか
どこへ行くともわからないその方向を
どの種類の世界へはいるともしれないそのみちを
たったひとりでさびしくあるいて行ったらうか
by宮沢賢治

けれどもそれは法的に世間的に認知されにくいだろうなあ。
ただ、ある種の人にとってはとても必要な場ではあると思う。
そう言う場を、またある種の風俗は担っているのだろうけれど、依存性が高く、出費が激しいので、事件や犯罪や生活の破綻に繋がりやすいのだろうけれど、と言うか、そう言う人そのものが破綻に近づいている事でもあるし、社会的弱者でもあるのだろう。
それを自身も実は感じ取っているので、不安で不安で仕方ないのだろうけれど、これはまあ、またいつか何処かで。

そんな感じで異動先にて「営業マンさて」を繰り広げて行きます。