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2015年04月22日00:35

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<ヘーラクレイダイの帰還>第1話

2007年ごろにギリシャ神話の逸話を紹介して、ヘラクレスの神話を最後にやめていたけれど、ヘラクレスの一生を語って、その子孫の神話は別の機会に、と書いて、そのまま放置しておくのは片手落ちだよな〜、と思い、続きをまとめることにしました。
そんなに長くはならないのでお付き合いください。


<ヘーラクレイダイの帰還>第1話


 ヘラクレスと正妻デーイアネイラの間には、長男ヒュロス、娘マカリアを含め、四男一女が残されました。
 かつてヘラクレスが仕えたミュケナイ王エウリュステウスはヘラクレスの一族を敵視し、彼らを迫害します。遺族は、ヘラクレスの養父アムピトリュオンの甥であり、ヘラクレスの友人でもあったトラキス王ケーユクスを頼ります。しかしエウリュステウスが武力に訴えると威嚇してきたためケーユクスは彼らを守り切れず、ヘラクレスの一族はアテナイに亡命しました。彼らを受け入れたのがアテナイの王テセウス(あるいはその息子デモポン)でした。
 エウリュステウスは五人の息子と共に軍勢を率いてアテナイを攻め、アテナイ軍、そしてヘラクレスの息子ヒュロスと甥イオラオスが彼らを迎え撃ちます。勝利を求めたアテナイが神託を求めると、「由緒正しい家柄の娘をペルセフォネにいけにえとして捧げよ」という神託が下ります。この時、進み出たのがヘラクレスの娘マカリアでした。
「もうアルゴス勢の槍を恐れることはありません。命じられるまでもなく、私がいけにえとなりましょう。この国が私たちのために大きな危険を冒そうとしているとき、私たちは苦労を他人に背負わせておいて、いざその方たちを助けられるという時に死にたくないといって逃げ出すようなことがあれば、私たちはどう申し開きをすればよいのでしょう」
 こうしてマカリアはイオラオスの手によっていけにえに捧げられます。イオラオスはヒュロスと共に戦車に乗って出陣しました。
 イオラオスは伯父へラクレスの冒険を助け、ヒュドラ退治や、ゲーリュオンの牡牛狩り、トロイア遠征などに従がった勇者でしたが、この時すでに老いていました。しかし彼がゼウスと青春の女神へべに祈ると奇跡が起こりました。青春の女神ヘベと彼女の夫となり神となったヘラクレスが二つの星となって現れ、イオラオスは若返ったのです。往年の力を取り戻したイオラオスはエウリュステウスの軍勢を蹴散らし、彼の五人の息子を戦死させ、戦車に乗って逃げるエウリュステウスはスケイロニスの岩で捕虜となります。
 エウリュステウスは「もはや命乞いはせぬ」と最期は立派な態度を取り、「自分を埋葬してくれれば末永く地下にとどまってアテナイの友となり、一朝事あるときは味方となって馳せ参じよう。しかしヘラクレスの子孫らがこの度の恩を仇で返し、大軍を率いてこの国に押し寄せることがあればこの私が真っ先に手ごわい敵となってやろう」と言い残して処刑されました。ヘラクレスの母アルクメーネーは彼の目を機織りのおさでくりぬいて復讐したといいます。

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