時代劇マンガを描く際に、先生が参考にしている時代劇俳優は
坂東妻三郎である。
伊藤彦造描く凛々しいサムライを具現化した存在として、その躍動感そのものを作画資料としていちいちプリントアウトしてデッサンをとっている。
映画「雄呂血」は祖父の日記でその存在を知っていたが、初めて観たのはイメージフォーラムでの特集上映であった。確か「血煙高田馬場」との同時上映だったと記憶している。ありがたいことに日本語字幕入りだったので、ハナシがよく分かり、かつ、映像として阪妻の大立ち回りの美しさに見とれた。
先生は「雄呂血」が大好きで大好きでたまらなく、映画にありがちの太陽のごときヒーロー像ではなく、哀しいアンチヒーロー、ダークヒーローとしての久利富平三郎(阪東妻三郎)を溺愛するあまり、暗い主人公しか描けなくなってしまった。なるほど、今までの作品を見渡しても明るい主人公は一人もいない。
そこが歌舞伎からの魅力なのだ、と先生は熱弁する。元々歌舞伎はダークですからね、と私は呼応する。
そういう意味で映画「雄呂血」は歌舞伎と映画の交差点としても記念的作品なのである。
ログインしてコメントを確認・投稿する