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2015年03月27日23:04

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パイロットの心の問題

「パイロットの心の中は?」ナゾのジャーマンウイングス機事故を受けて、今日のNYタイムズ紙が早速ツイートで、元旅客機パイロット、アンドリュー・マックギー氏の寄稿文を載せています。
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わたしは1993年から12年間旅客機のパイロットを務めて、現在はNYで建築設計の仕事に就いています。
いま想うと、何人か変わった相棒がいて一緒に飛んだことはありますが、馬鹿げた話や突飛な会話を交わすことはあっても、相棒が彼自身を含めて同乗する人間を殺そうとしているなどと感じたことは一度もありません。

旅客機のコックピットというのは確かにユニークな空間ですが、旅客機を操縦するという仕事自体には、個人の個性が入り込む余地はないのです。
そこでは誰もが、常に全く同じ動作を繰り返しています。出発前に各種のチェックをし、エンジンをかけ、誘導路から滑走路へ進み、離陸して着陸する。
緊急時には予め細かく決められた手順を相棒とチェックし合いながら対応します。
もし相棒が突然体調不良で意識不明になるとか、酔っぱらっているとか、手におえない乗客がいるとか、考えられるあらゆる異常事態に対応する訓練が繰り返し行われます。
わたしの父はP-2ネプチューンのパイロットとしてベトナム戦争に従軍した後、引退までの30年間デルタ航空でB-727Sを飛ばしてきましたが、パイロットの作業手順は終始変わらなかったと語っています。

航空機墜落による自殺は滅多に起きないが、全く前例がない訳ではありません。
1960年代から70年代にかけて、機長と副操縦士との関係に何か問題があって起こったとみられる操縦ミスと呼ばれる事故がいくつかありました。
副操縦士が機長の判断に口をはさむのを控える傾向は確かにあります。
副操縦士が、燃料が急激に減っているということをおずおずと機長に伝え、その後再度注意することを怠った結果、エンジンが炎上した事故が起こり、その際のコックピット内の会話を記録したテープを、訓練の時に聞かされたこともあります。

自動操縦機器が進歩して、最近は実際にマニュアル操縦する機会は少なくなっていて、計器類のチェックが主な仕事になっています。今回事故を起こしたジャーマンウイングスのA-320もふくめて、多くの航空機は「自動着陸」を売り物にしています。実際に、最近の大手の国際線パイロットがマニュアル操縦する機会は、訓練のときぐらいだと言っても過言ではありません。
アダムとイブの話を必ずする狂信的なキリスト教徒の相棒と何度も飛んだことがあり、きわどい浮気話をいつもする男と一緒に飛んだこともあります。彼は家をでる時には奥さんと子どもに熱いキスをして出社し、後の一週間は、コックピットで全く別人の生活を送るといった具合です。
確かに彼らはおかしいですが、これも人間のやりがちな行動パターンで、何か危険な行動を起こす性格のものではありません。

150人の人命を奪った事故を起こしたジャーマンウイングスの副操縦士、28歳のアンドレアス・ルビッツは明らかに故意に旅客機を墜落させたと言われています。わたしの父が驚いたのは、僅か630時間という彼の飛行経験の浅さです。更に彼は訓練中に休暇を申請して訓練を中断したことがあるようです。
これも異常だと思います。まともなパイロット志願者はめったなことで訓練を中断したりしないからです。しかし、これが彼の精神状態が危険なほど異常だったことにはならないでしょう。
わたしは一度も精神科医の診察を受けた経験はありませんが、精神状態の評価をするペーパーテストは受けたことがあり、パスしました。

しかし、今やわれわれが安心して空を飛ぶためには、パイロットの心の問題の研究に力を入れる必要が出て来たのは確かです。航空会社は、パイロットが緊急時にどう対応できるかを常にチェックしてきましたが、パイロット自身がその緊急事態を起こすリスクについては殆ど研究されてこなかったのは事実です。

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