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2015年02月05日16:18

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映画日誌「ジミー、野を駆ける伝説」

 決して社会派ではなく、どちらかと言えば庶民的な視点で人間を描くことが巧みなケン・ローチ監督だけに、アイルランドの独立紛争やIRAの存在、宗教的な対立など、今も存在する政治的な問題は強調せず、生きる喜びを求める人々の姿が中心となっている。
 実在の人物ながらあまり知られていない元活動家のジミー・グラルトンの物語だが、主人公自身も決して過激な活動、言動は行わず、あくまで純粋に庶民の生活向上を目指すのだが、結局は聖職者や領主の反感を買い、母国を追われることになってしまう。
 マイケル・コリンズのように過激なテロを辞さないような姿勢は、やはり今の時勢にふさわしくないし、多少はやるせなさを感じる内容ながら、ラスト近く、司祭も少しばかり理解を示す態度を取るようになったのが、せめてもの救いのように感じられる。
 アイルランドの独自の歴史や、カトリックの保守的な国という事情なども多少は予備知識として持っておいたほうが、この映画のテーマを把握しやすいかもしれないが、一般市民のことを考え、自分の主義・主張を曲げない一人の男の生きざま、というだけでも強いインパクトがあるのは間違いないだろう。
★60点

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