陳列ケースでイチバン印象に残っているのは何といっても回転台である。
上に貼ったのはすべて包装されたものだが、ムカシはキャンデー一個単位でむき出しのままザラザラと敷き詰められていた。それを小さなスコップですくって茶色の紙袋に入れて量り売りするのだ。
つぶやきの反応をみると、やはりみなさん同じ体験をしてらっしゃるみたいで、思わずにやけてしまった。
市川駅には松坂屋というデパート(現在はビルそのものは現存しているが、ホームセンターのオリンピック、TSUTAYAが同居するなど雑居ビルになっている)があり、屋上からアドバルーンが出されているのを横目で見ながら、屋上遊園地で潜水艦撃沈ゲームに熱中するのが幼少時の私の愉しみだったのだが、地下の食品売り場でソフトクリームをコーンごと貪り食い、土産にこの回転ケースで飴を買っていくのも愉しみのひとつだった。
これはヌガー。歯応えが面白いし、イロイロな味わいが愉しめるのでまずイチバンにコレをチョイスしていた。
これは風船羊羹。つまようじでプチッと刺して割ってチュルッと食べる。手がベトベトするので私は好きではなかったが、オヤジが大好きで、これも入れないと買わないと大人げなく脅してきた。
これはフィンガーチョコレート。ご存じ、ビスケットにチョコがかかったやつで、お菓子の王様的存在。きょうび、スーパーでも見かけなくなってしまったので、今は業務用問屋で買っている。
これは昭和タイプのサイダー飴。砂糖にまぶしたザリザリした甘ったるいやつだった。祖父の大好物で亡くなる前もこれを口に入れていた。
これはコーヒー飴。ブラックは胃が痛くなるので飲めなかったが、コーヒー牛乳とこれだけは好んで口に入れていた。
これはバターボール。祖母が風邪をひいた時の栄養だとなめさせて以来、調子が悪くなるとこれを買うようにしている。
これはミルキー。おとなしくなめていれば問題はないのだが、性格的に短気な我が家は誰もがかじり、銀歯、詰め物をよく吐き出していた。私は舌の裏に潜ませてゆっくりなめるようにしている。
これはいちごミルク。キング・オブ・キャンデー。あまりの美味しさにこれしか買わなかった日もある。
他にもイロイロあったのだが、思い出すのはこれらのブツである。つまり、これらを重点的にチョイスしていたわけだ。
色とりどりのキャンデーがぐるぐる回るその光景。
まさに夢の国そのものだった。
地方に行けば今でも見られるところはあるが、もうむき出しではない。それではあの頃のような、甘い香りのオーケストラが愉しめない。視覚も素晴らしい思い出だが、同時に嗅覚も私にとっては筆舌にしがたい素晴らしさがあったのである。
ビスケットはさくさく。
チョコレートはぬるぬる。
キャンデーはかりかり。
羊羹はべとべと。
匂いもそんな感触なのであった。
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