「卵」
第60回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した「蜂蜜」(2010)へと続く、“ユスフ3部作”の第1作目。
イスタンブールで暮らす中年で詩人のユスフが主人公。母親の訃報を受けて何年も帰っていなかったユスフは故郷に戻る。古びた家ではアイラという美しい少女が待っており、自分の代わりに5年に渡って母の面倒を見てくれていたことを知る。アイラから告げられた母の遺言を果たすためにユスフは彼女と旅に出る。しかし、それは自身の内面やルーツをたどる旅でもあった。
「ミルク」
ユスフ3部作の第2作目。第28回イスタンブール国際映画祭の国際批評家連盟賞、審査員特別賞の受賞作。
高校を卒業したばかりのユスフが主人公。詩を書くことが好きで、文学雑誌に発表して自身の作品が載ることを夢見る。しかし、家計は苦しい。母との二人暮らしで、彼の書く詩も、母ゼーラと共に営んでいる牛乳屋も生活の足しにはならない。そんな中、母と町の駅長との親密な関係を目撃したユスフは当惑する。幼少期の病気も重なり、彼の中で不安が広がり始める。先行きの知れない未来に向かって大人への一歩を彼は踏めるのだろうか。
「蜂蜜」
第60回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したユスフ3部作の完結編となる第3作目。
6歳で少し吃音のあるユスフは森林に囲まれた山岳で両親と一緒に暮らしていた。そんな彼は養蜂の仕事をする父と森で過ごす時間が大好きだった。優しい父をだれにも渡したくなかった。そんなある日、森のハチが姿を消してしまい、父はハチを捜しに森深くに入っていく。その日を境に、ユスフの口から言葉が失われてしまった。やがてユスフは、父を捜しに一人で森の奥へと入って行った。
(以上、exciteブログより)
一時日本でも話題になってましたね。一枚のDVDにまとめて録画してました。しかし、それぞれちゃんと1時間40分ほどずつあるので、まとめて見るには普通にはしんどいかもです。今回、私は状況が整っていたので(笑)まとめて鑑賞することができました。
制作年月から言うと、年輩のユスフからだんだんと年齢が遡るように作られていたようですが(「卵」2007年・「ミルク」2008年・「蜂蜜」2010年)、日本では「蜂蜜」のみが公開され、その評判が良かったので「卵」「ミルク」もついでに公開された、というのが現実のようですね。大阪でも「蜂蜜」の半券があると残り2作は割引きで見れたようです(最も公開は接近していたようですが)。今回、私は日本での公開順で録画してあったので、その通りに見ることにしました。
舞台は山・森の原風景がどこまでも広がるトルコの片田舎。小さなユスフは両親と3人暮らしです。父は蜂蜜を取って生活をし、母は茶畑で働いています。ユスフは話すことや読むことが苦手なのか、本読みを当てられてもよく読めなかったりすることもあり、すべらかに話せるクラスメイトをうらやましいと思っています。
あるとき、父が遠くまで蜂を探しに行ったまま帰らず、母はだんだん不安になり、父と仲良しだったユスフもますますしゃべらなくなります。それでも祖母や友人たちは同じように接してくれていたのですが、あまりに帰って来ない父を捜しに行った母は、最悪の結果を知ることになります。
やがて青年になったユスフは、母と二人、牛乳を売って暮らしていますが、暮らし向きはよくありません。体の弱いユスフ(父も同じ持病があったことは前作(「蜂蜜」)でも描かれていました。多分てんかんの類です)は詩を書くのが好きで、いつかはこれが職になればいいな、と漠然と考えています。あてにならない息子に母は困っていますが、どうしようもありません。そんな母も新しい連れ合いを見つけ、少なからず息子はショックをうける様子が描かれます。
そして年輩になったユスフは、すでに!有名な詩人となっています。文学賞を獲ったとかで、地元でもヒーローです。しかし、そんな彼は故郷を離れ、イスタンブールの都会で書店を営んでいます。そんな彼の元に母の訃報が届き、長らく訪ねてなかった故郷に帰るところから「卵」は始まります。
そして、親戚の若い女性が母の世話をしてくれていたこと、母は願掛けをしていてそれをユスフが引き継がなきゃならないことなどを知ります。羊の生贄なんて信じはしないのですが、母がやり残しているのなら仕方がありません。そんなこんなで、すぐに帰るつもりが故郷に長居してしまいます。
ともかく、どの作品も静か。自然光のみを用いた映像に音楽はナシ。自然に発生する音だけを拾い、俳優さんたちも大仰ではありません。こういった映画は、大音響の派手な映画を見慣れた私達には新鮮ですが、あまりに物語の進行も人々の行動もスローで、正直眠くなるのも事実です。
自然を映した映像は美しく、人々は善良で、バタバタと追い立てられることもない。こういう淡々とした美しい映画は、心も洗われること請け合いです。
でも、無粋な凡人である私は、「これは1本でいいかなぁ・・・」と思いました。すみません。
ログインしてコメントを確認・投稿する