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2014年11月23日20:24

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新作「夏の二人」のための、猟奇系百合というジャンル。(再掲載)

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いわゆる百合ジャンルというものがある。
女性同士の同性愛を扱ったジャンルで、純愛ものがほとんどである。
それ系の専門雑誌が数点存在するので、百合というコトバ自体、世間一般には広く認知されている。

もっとも百合というのは言い方だけで、谷崎潤一郎の「卍」に代表されるように、女性の同性愛は昔から文学の世界でも表現されてきた。

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いわゆるS、レズビアンといった世界に血がイチバンよく似合うことを世界で最初に表現したのは、他でもない、「吸血鬼カーミラ」を書いたレ・ファニュである。

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我が国における猟奇系百合は、江戸川乱歩や横溝正史なども得意としていたが、マンガという媒体が現れてからは、楳図かずお先生がその第一人者であった。

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特に「うばわれた心臓」は、マンガ史上最も有名な、猟奇系百合の元祖である。楳図先生はレズビアンの変化形に異常にこだわった描き手で、あの「洗礼」も母娘の複雑な百合関係と見ることが出来る。

佐世保事件が起きた時、予想通りエログロマンガがやり玉にあげられていたが、私と同世代の方々は「デビルマン」の美樹生首で見慣れているし、東京大空襲でグロい焼死体の山を処理してきた親の孫子の代だから、架空と現実の両方から聞き知って慣れっこのはずなのである。

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ましてやネットの時代なのだ、ホンモノの死体画像などいくらでも検索して閲覧することが出来る。

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猟奇は単に、百合という純愛ジャンルを盛り上げる調味料に過ぎない。血と臓物そのものが化粧品なのだ。

相手に恋愛感情がなければ、解体までしない、という前提の上で、佐世保事件をモデルにした「夏の二人」は書かれる。

父親は純愛成立のための生贄だったのだ。

こんにち、百合ジャンルがあふれかえっている状況のなか、現代文学でも百合ものが増えてきているが、私の知る限り、血と臓物の匂いがする純愛ものはない。ヤンデレ、メンヘラどまりのハンパもので、実にヌルい。要するに突き抜け方がない、あるいは足りないのだ。一般人が理解出来るような、共感出来るような純愛など、一体誰が感情移入出来るだろうか?

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佐世保事件の少女は決してネガティヴではなかった。あくまでもポジティヴに相手の血と臓物を求めたのである。精神的に問題があろうとなかろうと、彼女が欲しかったのは真っ赤で生温かい現実。狂おしい日常から脱して、自らの人間性を取り戻すための自己修復本能。

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そこまで書いちゃいけないものを私はあえて書ききってみたい。
そして楳図先生の「うばわれた心臓」以上の作品をめざしたい。

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