何の気なしに引っ張り出して聴いたエーリッヒ・ラインスドルフの指揮したストラヴィンスキーの『春の祭典』がめっぽう面白かった。
これは70年代の初めに、英デッカが当時この会社の売りだったPhase4で録音したもの。音は今聴いても新鮮ないい響きだ。勿論LPで、ジャケットの内側に買った時の日付が鉛筆で書いてある。そこには76年12月18日とあり40年も昔だ。
あの頃は、バーンスタインとかマルケヴィッチの録音が良く知られていて、そっちばかり聴いていた。このラインスドルフ盤は、それに比べ大人しい感じがして余り面白みのない演奏に聴こえたのだ。だからレコード棚にしまい込んだままだった。
ところがどっこい、この歳になって聴いてみるとオーケストラは上手いし(ロンドン・フィル)、なによりラインスドルフの演奏が実にユニーク。あれ!この曲のスコアにはこんな音も書かれていたのかと驚くこと度々、途中で針を上げることもなく40分の全曲があっという間だった。この録音はまだ一度もCD化されていないと思う。残念なことだ。
若い頃は気付かなかった音楽の本質のようなものに触れることは間々あることだ…と再確認。
レコードジャケットの中にPhase4シリーズのカタログ・リーフレットが入っていた。
それを見ると「そうかこんなのもあったなぁCDで聴いてみたいなぁ」と思うものが沢山あった。
例えば、カルロス・パイタの『ワーグナー・フェスティヴァル』とか、ヘンリー・ルイスのベートーヴェンの『田園』、マリリン・ホーンをタイトル・ロールに迎えたビゼーの『カルメン』抜粋、ラインスドルフの『ペトルーシュカ』、ヒッチコック映画で知られる作曲家のバーナード・ハーマンが指揮したアイヴズの交響曲第2番など、どれもまだ一度もCD化されていないと記憶している。
こんな埋もれた名演?がまた日の目を見る時代が来るのだろうか。
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