俳優の渡哲也さんの趣味のひとつに焚き火があるのだそうで、人によっては危ない趣味に聞こえるかもしれないが、私は実に渋い趣味だと感嘆せずにはいられない。
火をおこすのは、人類が地球上に誕生して以来の、重要な「仕事」であった。
暖を取ったり、食べ物を焼いたり、天に向かって祈るための合図にしたり・・・
私に火の重要さを教えたのは祖父である。かなり厳しく教えられたので、三歳にして鋳物のガスコンロにマッチで火をつけて湯を沸かしたり、石油ストーブの火口に割りばしの先を燃やして突っ込んで火をつけたりすることが出来ていた。
少し大きくなると専用の七輪を買ってもらい、寒い日は餅やししゃも、生せんべいを焼いて食べていた。
私の指が他の子供より太いのは、火ぶくれしているせいだ。それは大人になっても全く変わらないので、中指の指輪のサイズが33号という巨大さである。
とにかく火を焚くのが好きなので、当然ストーブにもこだわりを持つようになり、アウトドアにおいてそのこだわりは真価を発揮した。ドラム缶、一斗缶をペンチとナイフで加工してストーブに作り替えて、キャンプの煮炊き場にしたことは何度もあるし、最近はネットで覚えた丸太ストーブ(チェーンソーで十字に切れ目を入れておく)を使う機会を狙っている。
ちなみに一人でキャンプしに行く時に携帯するストーブはコールマンである。クッカーセットに焼き網(ミニロースター)。これだけあれば十分。今の焼き網は丸いけれども、昔のは長方形でちょうどパンを焼くのに適していた。焦げ目のついたパンをちぎりながら、沸騰直前まで温めたホットミルクにひたしてパンがゆとしてもむもむと口に含んで、朝焼けの空と青白いストーブの火を見比べる。あの贅沢なひととき。
火は危険だけれども、上手に扱うことを覚えればこんなに楽しいことはない。
そういう意味で、私は渡哲也さんの趣味が焚き火だというのに大いに頷くのである。
後、アメリカ人の多くがこだわっているバーベキューも、そのほとんどが肉やタレの味より、いかに豪快に焼くかにこだわっているはずだ。その証拠は画像をググるとイロイロ気づくものがあるだろう。まさに燔祭。男は火に魅せられる生き物なのだ。
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