人体の不思議展

中学の頃に大阪で人体の不思議展が開催されて母親と一緒に見に行ったことがある。

その当時でもかなりセンセーショナルで
ラジオやテレビで話題になっていた。
今思えば、あの時にもっとしっかり
見ておけばよかったなという
後悔がある。倫理的な観点から
もう日本で開催されることは金輪際
あり得ないだろうし。

私がもう一度見たいと思うのは
純粋に美術解剖学のためで
筋肉のつき方をこの目で確かめたい
というのが動機である。
人体模型、骨格標本のミニチュアは
持っているが本物にはやはり
敵わないのである。

私が特に見たいのは腕の筋肉のつき方で
肩甲骨と鎖骨の動作による位置関係とか
内転筋の現れ方とか指の健のつき方とか
そういうものをもろもろ確認したい。

ヌードデッサンをしていると
腕の向きによって腕のフォルムは
変化する。理屈ではわかっていても
人間の筋肉は想像以上に伸縮するから
やっぱり皮膚のしたがどうなっているのか
気になるのである。

日本には人間の人体標本を
見れるところがない。
東京の博物館には多分あると思うが
一眼のつかないところで保管されているのだろう。

そういえば、人体の不思議展を見終わった後に、昼間行った会場の真夜中の
様子を想像してあれが勝手に動いたり
したら怖いなぁ〜なんて妄想したり
していた。会場の鍵閉め係りの人は
毎日どんな気持ちだったのだろう。
夜中に警備する人はどんな心地だったのだろう。そんなことを考えて見たりもする。