ネットベッドのこと。

昨晩Ｏさんに寝室はどうお考えですかと聞かれたので、無呼吸症候群で仰向けになると呼吸が停まるのでうつ伏せになっても大丈夫なベッド、すなわちネットベッドを考えてますと、上の画像を添付して返信した。

Ｏさんのツッコミは予想されたものであった。
「冬はどうするんです、これじゃ寒いでしょ？それに鈴木さんは全裸でお休みになられるのがたいへんお好きなんでしょう。後、女の子が一緒に寝てくれませんよ、アトがついちゃいますからね」

なるほど、そういえば昔ネットハンモックで正常位をキメたら、相手の背中からケツまで網目のアトがクッキリついていたことがあった。荒縄で緊縛されるより恥ずかしいと随分恨み言を言われたものだ。と、濡れ事は別のところでいたせばいいのであって、十分な睡眠をとるための寝室なのだから、呼吸停止の心配なく寝られる環境としてネットベッドは捨てがたい。

蜘蛛の巣にも防寒仕様がある。以下の画像をごらんあれ。



このようにネットを二重、三重にしてそのあいだに潜り込んで寝れば真冬でも寒くないだろう。と、私は蜘蛛が大嫌いなのに蜘蛛の真似ごとに抵抗が全くないのは、蜘蛛こそが私の本性だからである。

人間はイチバン嫌いなものがその人の本性なのだ。

三島由紀夫は蟹が大嫌いだった。この事実だけでもこの説にはかなりの真実味がある。

思えば私はだだっ広いところで大の字になって寝るより、部屋の隅っこ、あるいは押入れに隠れて寝るのが好きだった。ダブルのベッドに寝ても、壁際にカラダをくっつけて寝る癖が身にしみついてしまっている。まさにツチグモ、トタテグモの習性である。

いくつかのやり取りの後、Ｏさんは「ネットベッドでほんとうに安心して寝られるんですか？」と念を押してきたので、たっぷり五分間はシミュレートした。その結果は熟睡であった。ああいう浮遊感覚は映画「セル」を持ち出すまでもなく、簡単に意識の向こう側へ旅立てる。そうやって少しでもユメの世界から多くのものを回収していきたい。

蜘蛛のように巣の真ん中に構えながら、より多くの情報を。

ただもう若くないので、カオなどについて長く残るであろう網目のアトをどうやって消すか、早いうちにいい方法を見つけなければなるまい。