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2011年10月12日16:28

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NEW WILD SEVEN THE ANOTHER 壱 「七発の銃弾」 ��

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http://www.virginbmw.com/enjoy/truetest/01.htm

廃工場。
作業台の上に並べられた七個のフリップアップヘルメット。
マットブラックのSchuberth C3で、後頭部から側頭部に広がるようにワイルドのエンブレムが入っている。

「シェードも含めて完全防弾仕様だ。二重シールドはモニターと切り替えられ、カーナビからナイトビジョン、サーマルスコープと何でもござれだ。もちろんインターネットも出来る、ハンズフリーでな。一個五千万の特注だぜ、大切に扱えよ」と牧。
「凄え!!誰が作ったんだ、これ?」と勝吉。
「俺さ、元々はこういうのが専門でな。そこを草波さんに買われたってわけよ。さあ、制服も着てみろ」

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FOXのプロテクタージャケット、ニーガード付パンツ、ブーツを装着する隊員たち。
「なンか、バットマンみたい?」と勝吉が言えば、「違いねえ」と紅が応える。

「制服も当然完全防弾仕様だ、しかもショック吸収にも優れているから、時速100キロでぶつかっても死ぬことはねえ。44マグナム、ショットガンで撃たれても平気だ」
「なら、俺らは安全、まだヘルメット、制服を着けてねえあんたは平気じゃねえってことだな?」と水戸、拳銃を牧のこめかみに突きつけ、続いて、神林、勝吉、紅も拳銃を牧に向かって構える。残る慧嶽姉弟は作業台の上の拳銃を取らずに、ヘルメット、制服を着けたまま立っている。
「何のマネだ・・・」
「あんたは草波さんを相当殺りたがってるようだがな、俺たちワイルドは私怨を晴らすための道具じゃねえんだ」
「そうかい。なら撃て。撃たなければおまえらも殺すぞ」
水戸、ウ・・・と言葉に詰まり、サッと銃口を牧の足に向け、引き金を引いた。
その瞬間、銃を構えた四人の身体が硬直し、地面に倒れ、痙攣し始める。
牧、水戸から拳銃を拾っていく。そのグリップは四人とも針が飛び出しており、グローブごと手のひらを傷つけていた。
「ゴケグモから採った神経毒だ・・・心配するな、死にはせん。さて、おまえたち。なぜ、銃を取らなかった?」
牧に水を向けられた慧嶽姉弟はしばらく黙っていたが、麟子が口を開いた。
「ボスは誰だろうと関係ないわ・・・あたしたちは好きなように暴れるだけ」
和馬は無言でゆっくり頷く。
「いい返事だ、聞き分けのいい子供は好きだぜ。じゃあ、こいつらを運ぶのを手伝ってくれ」

意識が残ったまま、手製の手術台の上に四人揃って並べられ、点滴、心電図を着けられ、食肉業者用の厚手のエプロン、マスク姿の牧に、麻酔を打たれ、メスを入れられ、両耳の後ろに超小型高性能爆薬をセットされる。

「これがおまえたちの“首輪”だ・・・無理に外そうとすれば当然爆発する・・・24時間経ったら起き上がれるから、その時あらためてミーティングだ」

な、なんと・・・恐ろしい・・・牧・・・草波さん以上にヤバイじゃねえか・・・

水戸、三人の仲間とともに呻き、最後に慧嶽姉弟を見た。チンガードをあげて顔をさらした二人は無表情でこちらを見つめていた。

回想。

慧嶽流弓術は流鏑馬のための武術であったが、それは建前で、本来は戦国時代に生まれた、弦が切れ、矢がつきても、全身を弓矢にして闘うという驚異の体術であった。空手、柔術、剣術のどれにも属さない独特の構えと体裁きは、矢と同じく、最短、最速、最小の攻撃で相手を屠るため、暗殺に向いてるということで、江戸時代は徳川お抱えの秘中の武術として代々受け継がれていた。明治、大正、昭和と上が変わってもひっそりと続いていたが、ある大物政治家の依頼を受けて国益に反する外国人政治家を消したところ、後始末に政治家お抱えの組、組と提携している中国マフィアが当たり、道場ごと虐殺の憂き目にあった。

父親と道場の者たちはサブマシンガンの一斉射撃に倒れ、母親は刃物で腹部を刺され、中学生の麟子、小学生の和馬とともにコンテナに閉じ込められた。

三ヶ月後。死体処理のためにコンテナを開けた組員の目に何かが突き刺さり、後頭部へ突き抜けたそれは、人間の上腕骨で作られた矢だった。
コンテナの奥に人影が二人。二人の足下には白骨化した死体が横たわっている。
和馬が大腿骨、肋骨を髪の毛でつなぎ合わせた弓を構え、乾かした筋肉で作った弦で次々と骨の矢を放ち、焦って銃を抜こうとする組員達の脳天を貫く。
車のなかにいたマフィアの幹部が刀剣を手に向かうと、上体を後方に思いっきり反らした麟子が思いっきり前屈して投げた三個の手裏剣に顔面を貫かれ、ガクンと膝を折って前方に倒れた。
顔面に食い込んだ手裏剣は母親の脊柱骨をバラして作られたものだった。

これぞ、兵糧攻めに追い込まれた時に、封を解かれる慧嶽流の奥義、「骸射(がいしゃ)」。
味方の肉を喰らい、自分の小便を飲み、味方の髪の毛、骨、肉で武器を作り、反撃に起つと。

その恐るべき丹心ぶりに草波は目を付け、ワイルドにスカウトすべく、組とマフィアの殲滅の現場を押さえ、生け捕りにしたわけであった。

標的はもういない。
それで、元の生活に戻れるわけでもなく、また復讐のためとはいえ、武術を駆使して大勢の人命を奪った二人は何事もなかったかのように社会に溶け込めるはずがないと悟っていた。

それが慧嶽姉弟の“首輪”であった。

かくして、六匹の野獣を猟犬として制御することに成功した牧は・・・

検察庁。
仕事を終えた草波検事総長は、その日に限って、車の送迎を断り、義足と杖で自分の脚で歩くことを選んだ。
「たまには歩かんと早く老けるのでな・・・」
「でもあなたは多くの悪党に生命を狙われる身!!イッキに寿命が縮まりますヨ!!」と部下。
「縮まれば一番喜ぶのはキミだろう・・・私の後釜に座れるのだからナ・・・」
「そんな、とんでもない!!」とわざとらしく恐縮してみせる部下。止める様子はなく、SPたちに警護に就けと指示する。
それを見て、フ・・・と笑う草波。

「マジで歩きかよ・・・死にてえのか、草波のダンナ」
ビルの屋上から双眼鏡でヒョコヒョコ歩く草波の姿をとらえた男二人組(作画の上で勝吉と紅のサングラスを描くことで二人だと思わせる)、狙撃銃を構え、照準を合わせる。
引き金に指がかかったところで、身体がビクッと震え、射ち手の頭に穴が開いているのが見える。
双眼鏡から目をはなしてそれを見たもう一人は、ワッと叫び、必死にカエルのように伏せる。
「くそォ・・・どこから!?」
その呟きが検知アンテナ、高性能イヤホンを通して神林瑠衣子の耳に入り、彼女の構えたKarabiner98kが火を吹いた。

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もう一人が頭を打ち抜かれたところで、瑠衣子は脇に寄せてあったヘルメットを軽く二回叩いた。“狙撃者排除”の合図である。

それを感じ取った、牧はヘルメットのチンガードを下げ、またがったカワサキのZZR1400を走らせる。両側と後方に続く水戸、勝吉、紅。

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同じ頃、草波の歩いている道路の真下、下水道を追跡装置を手に進んでいる武装集団がおり、それぞれに手にはPP-2000を携えている。

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「狙撃ポイントから連絡がありません」と一人。
「よしBプランで行くぞ」とリーダー。
「了解」と、一人がライトを横の通路に向けたところで、ライトの輪のなかにヘルメット、ボディアーマー姿の麟子、和馬が浮かび上がった。
二人ともポンプアクション式のショットガンを構えている。
「・・・!!」と声にならない叫び声をあげたところで、二人が引き金を引く。
しかし、カチッと鳴るだけである。
「あらっ?」
「あれれ?」
発射しないショットガンを不思議そうに眺める二人に向かって、一斉射撃、9�个涼憧櫃留�が降り注ぎ、二人を下水のなかに落とす。
「ナンナンだ、あいつら・・・!!」
「シロオトくさかったな」
「他にもいるかもしれん、周囲に気を配れ」
バシャッと下水が弾け、鋼鉄製の矢が一人の顎から脳天に突き抜け、右腕にボウガンを装着した麟子と和馬が下水のなかから起き上がり、次々と矢を連射する。
それからヘルメットを軽く二度叩いて、牧に排除完了の合図を送る。

「ふう、やっぱり銃は苦手だわ」
「撃てなかったら、特訓だって言ってたね、牧のおじさん」
「おかしいなあ、引き金引くだけなのにネ?」
二人は単純に、ポンプをスライドして弾を装填していなかっただけなのである。

無線を車の床に叩き付け、議員は運転手の肩を掴み、爪を食い込ませ、「撤退じゃ!!」と叫ぶ。
「くそっ、三億かけた暗殺班がこうもあっさり・・・!!」
「それはお気の毒」と、いきなり車のドアを開け、議員の横に座る草波。
「ロシアの特殊部隊をリーダーに招聘した割には、手も足も出ませんでしたな」
「貴様・・・!!」
議員が拳銃を草波に向け、助手席の男、運転手も拳銃を突き出す。
「国益のために献身するわしを大臣の座から引きずりおろしおって!!放射能で街のひとつやふたつ滅んだところで、国民一億の生活は変わりはせん!!」
「国益・・・オンボロ原発をあてがって、事故の補償もせず、自分の利益を必死で守ろうとする人間は国賊と呼ばれるにふさわしいでしょう。我々は言わば、ドブさらいに従事し、それを誇りとするもの。首相であれ、ヒラ公務員であれ、それは本質的に変わりない。あんたのやってることは、ドブをあちこちにブチまけているだけなんだ」
「ほざけ、死ね!!」と引き金を引こうとしたところへ、運転手の顔が弾け、血と脳が議員の顔にふりかかる。焦った助手席の男もドア越しに勝吉のコルトパイソン357マグナムで大穴を開けられ絶命する。
あわわと悶える議員の横の窓が割られ、口に牧のS&WM66が突っ込まれ、引き金が引かれる。

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「ずいぶんクラシカルな銃だな!!」
「リボルバーは薬莢を落とさないからね・・・好きなんだ、こういうのが」と草波に銃口を向け、ニヤッと笑う牧。
「あんたは大勢の悪党に狙われてんだな、抜け駆けされねえよう、そいつらを始末しねえとな・・・あんたを俺の手で殺るために・・・」
フッと笑う草波、車から降り、震えて物陰に隠れているSPたちに手を振り、車を呼ばせる。
「おまえのことだ、悪党は見つけ次第狩るだろう・・・そのためにワイルドの指揮を任せたんだ」
そこで銃をホルスターにしまう牧、チンガードを下げ、水戸たちを従えて道路の彼方ー走り去っていく。

野獣は荒野に放たれた・・・
私の手を離れた今・・・
今度のワイルドは警察には属さない・・・
悪党に対する純粋な怒りそのものだ・・・

�―�わり。
�△愨海�。




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