mixiユーザー(id:1640816)

2011年07月14日19:08

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悲しみは哀しみで昇華させよう。

今日は被害者支援都民センターに勤めている檀家の依頼で、交通事故でお子さんを失ったお父さんを訪問しました。

http://www.shien.or.jp/

奥さんとはお子さんがまだ赤ちゃんのうちに離婚なされたそうで、父一人、息子一人と父子家庭で頑張ってきたところ、小学生になったばかりの息子さんは自転車で家に帰る途中、定年過ぎの老人が運転する車にはねられて亡くなったとのこと。

それ以来。

お父さんは会社に行けなくなってしまい、生きる気力もなくしてしまったそうです。何度自殺しようとしたか分からないという状態の彼が住むマンションは実に重苦しかったですが、私は下手に慰めたり、励ましたりせずにガルシア・ロルカを紹介しました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%87%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%82%AB

ロルカの有名な「血の婚礼」を部分的に朗読したのですが、やはり有名な以下のくだりが悲しみの底にあるお父さんの心を動かしたようでした。

フォト


レオナルド おれたちにとって、身を焦がしながら口に出さないでいること
ほどひどい罰はありゃしない。その誇りというやつが少しでもおれの役に
立ったというのかい?そのためにあんたに会うこともできず、夜ごとあんた
を眠らせずにおいたんじゃないのか?何の役にもたちゃしない!ただ、おれ
の体に炎をかきたてただけだ!あんたは、時間が火傷をいやし、壁がふた
をしてくれると思ってるだろうが、それは違う、そうじゃないんだ。人の心と
体の奥底まで入りこんでしまったものは、決して引き抜くことはできないのさ。

(第三幕、第一場より)


ロルカの作品は「イェルマ」もそうなのですが、悲劇に直面したスペイン人の溶岩のごとき情念が突き抜けるあまり、心を打ちます。
我が国でも清水邦夫が舞台作品として書いて、幸い1986年の舞台を観る幸運に恵まれました。
それで初めてロルカを知り、以来、全作品を読み知ったわけです。

我が国の悲劇は能、歌舞伎を含めてウェットなので、自分自身の悲劇の癒やしには向かないのですが、ロルカ描くスペインのアツイ悲劇は不思議と癒やされる何かがあります。

「幸い」と私。「今、公演がありますから観に行くことをオススメします」
「分かりました、是非観に行きます」
そう言うお父さんの顔色には血の色が戻っていましたので、私は握手して辞去しました。

http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1102568

ロルカを思い浮かべながら。
私は電車に乗って帰る途中、ホームのなかに三島由紀夫の影を見たような心持ちがしました。
三島もロルカとよく比較されたことを思えば、三島美学における悲劇もまた心を燃え上がらせる何かがあると確信しております。

「血を流して死ぬほうが、血を腐らせて生きるよりはましだ」

悲しみを癒やす哀しみとは一体どういうものなのか・・・この酷暑のなか、ひとつ感じ入ってみるのもいいでしょう。
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