退院した後。
病院にはつきものの「怪談」を聞かされたなかで、イチバン怖かった、というよりインパクトがあったのは、ストーカー外科医の話だった。
チョウチンアンコウの雄のように、相手の身体に自分の身体を埋め込むための手術法を一生懸命考えていたそうである。
結局、自殺したとのことだが、部屋いっぱいに貼り巡らせた「手術計画」を想像すると、手塚治虫の「ブラックジャック」(親子がひとつの心臓を共有して血をきれいにするという手術の話があった)、高橋葉介の「江帆波博士の診療室」(デブ男が脂肪を切除してスマートになるが、切除された脂肪が女の子になってつきまとうという話)が頭のなかに蘇り、現実に、チョウチンアンコウが出来るならば、人間も決して不可能ではないだろうと思った。
その方法がどういったものか深く追求するのも創作欲を刺激するが、「死霊のしたたり」シリーズなどラブクラフト作品の映像化で名をあげたブライアン・ユズナの怪作「ソサエティー」を思い出さずにはいられない。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=13223
スクリーミング・マッド・ジョージ(日本人です)の手による仰々しい特殊メイクだけでお腹いっぱいなのだが、人体が融合しまくるという見せ場は、まさしくストーカー外科医が夢見た“ニューワールド”ではなかったか、と深く感じ入ってしまうのである。
今のところ、医学的には今度公開される「ムカデ人間」が現実的ではあるが、好きな女の子のなかに埋もれてしまいたいという願望が熱望である限り、医学の発展は不可能を可能にしてしまうだろう。
http://mukade-ningen.com/
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