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2011年01月05日23:26

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土壇場に展開される人間模様を見よ、「首斬り朝」。

【男性編】読んでみたい時代劇マンガランキング
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1458996&media_id=95

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「子連れ狼」の小池一夫+小島剛夕の黄金タッグによる「首斬り朝」。
復讐ものが多い小池作品のなかで最も異色を放つと言われるゆえんは、

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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E7%94%B0%E6%B5%85%E5%8F%B3%E8%A1%9B%E9%96%80

実在した山田浅右衛門を主人公に、首打ち場である土壇場に座る罪人を巡って、それぞれの人間模様が静かに、あるいは熱く展開するところにある。
特に、以下に引用した首打ちシーンをごらん頂きたい。

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これは小池先生の綿密な調査に基づく時代考証の素晴らしいあらわれで、その忠実な再現ぶりは漫画でありながら首元がひやりとするくらいリアルである。

殺人者は死罪、即ち首打ち。

江戸時代の刑罰は好きものたちのあいだでは残酷さが目立つけれども、実際は、罪人にとってもっとも慈悲深いものであることが分かる。

その理由が垣間見えるエピソードがある。にっくきダメ男を刺した女が死罪に処せられることになり、男が死んだかどうかを知りたいがために時間稼ぎとして、「妊娠した者は子を出産するまで刑が延期される」という決まりごとを利用して、牢内で見ず知らずの男たちと交わって子を宿す。妊娠が分かった時点で、刺した男が長く苦しんだ末にやっとくたばったと役人から聞いて、土壇場に引き出された際、朝右衛門に妊娠を指摘されるが、「こんな誰の子か分からないのはあたしの子じゃない!!」と泣き喚いて刑に臨もうとする。
そこで朝右衛門は母と子のための経文を唱えて、決まりごとに反して、腹のなかの子もろとも女の首を打つのである。
「許して!!」と絶叫する女の形相が哀しかった。

現代人なら、子供に罪はないのにひどいことをする!!と色めきたつことだろうが、人間の業というものは、今の時代でも、鬼手仏心で断ち切ることも必要なのだ。慈悲の心あればこそ・・・

だから、「首斬り朝」は、重厚な人間ドラマとして、また史実に忠実な時代劇として、非常に読み応えがある。
犬神図書館で最もオススメしたい作品だ。
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