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2010年12月25日22:02

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ごぜびのこと。

まず、瞽女(ごぜ)について。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9E%BD%E5%A5%B3

フォト


母方の実家は新潟は妙高で、上越に近いということもあり、高田瞽女をお座敷にあげて三味線などをお願いしていた。
私も幼少時、映画「八つ墓村」の双子の老婆が増殖したような、三人組の老婆が大広間の奥に置物のようにちょこんと座っているのを目にし、ちっこいくせに骨身に響くような、力強く、そして物悲しい歌声がひどく印象的だったことを覚えている。

実家は旅館を経営しているけれども、祈祷をよくすることで知られ、いわゆる拝み屋の商売もしていたので、やれ悪霊にとり憑かれたから祓ってくれだの、やれ先祖と口をききたいから何とかしてくれだのとさまざまなニーズに応えてきた。

これから物語るのは、大正の頃の話で、母方の祖母から直接聞いたものだ。

トンネル掘りの土方として新潟にやってきた貧しい男が一夜にして金持ちになった。
でっかい家を建てて、めんこい嫁ももらい、使用人も多く抱える羽振りのいい旦那になったのが、ある日、真っ青な顔でおれのところに来てさ、子供が三人生まれたんだが、三人とも、そのなんだ、とにかく変なんだ、見に来てくれねかって言うのよ。
そんで見に行ったらばさ、三人とも女の子なんだけど、みんな目が白く濁ってる。
ロウソクの火を近づけてもまばたきひとつせん。
こりゃめしいてる、めくらだわと気の毒に思ってると、旦那はもっと真っ青になっての、実は若い頃三人の瞽女を殺して貯め込んだ金を奪ったんだ。その祟りだ!!と騒ぎおったわいな。
おれんとこは目に見えんものを扱うわけで、目に見えるもんはどうしようもない。
三人とも殺した瞽女とおんなじにめくらとして生まれてきたのは不思議だけんども、ほんとにどうしようもない。
それで旦那はとうとうおかしくなって、三人の娘を絞め殺して、雪のなかへ埋めてしまった。
それ以来、旦那んとこの家の屋根の上を三つの火の玉が絡み合うように飛び回るのが見えての、旦那が病に痩せ細って死ぬまで、その“ごぜび”は燃え続けてたわいな。

ここで祖母の話は終わる。

以下は雪女を見たことがあると固く信じる叔父の話だ。

おらがガキの頃、竹のスキーで学校へ通ってたってのは話したな?
優雅にスイスイ滑ってよ、通学は楽チンだったんだけどよ、雪女に出くわした時ゃあ、そりゃあもう死に物狂いで逃げたわさ。
しかも三人もいてよ、みんな空を飛んで追いかけてきやがんのよ。
おらのシュプールだけが後ろに流れてさ、それを追うように空を飛んでくるんだぜ、あんなにおっかなかったことはねえなぁ・・・

叔父が見た三人の雪女が瞽女の霊だという証拠はない。
ないけれども、現在に至るまで。

くだんの土地、旦那の屋敷があった辺りでは、今でも三つの火の玉が飛び回るのが目撃され続けている。
一時、クロスカントリーのコースが入ったことがあったが、すぐに大幅な変更のもとに、大きく曲げられた。

私自身は火の玉も雪女も見ていないが、雪降る晩にそこへ一人で散歩に出ようとは夢にも思わない。

それは従姉妹たちも同様で、しんしんと雪降るなか、ほとほとと戸板を叩く音が響いても吹雪のせいだと決めつけ、決して瞽女の幽霊だと思うようなことはしない。
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