mixiユーザー(id:9353210)

2010年04月24日23:36

81 view

<ネタばれ注意>心が折れた時に効く薬は?(映画「武士道シックスティーン」を見て)

まず出ている女優さんが凄い。北乃きい、成海璃子という2本柱に
加え、山下リオ(徳島県出身)、荒井萌、高木古都、波瑠という脇役陣も
生き生きしている。
 ストーリーは、今時の青春スポーツ映画の王道といった映画。

 主人公の一人・磯山香織(成海)は剣道エリート。幼い頃から
道場主である父によって鍛えられ、数々の大会で優勝している。
愛読書は、宮本武蔵の五輪書、学校の休み時間でさえも
寸暇を惜しんで練習している。「剣道は勝たなければ意味がない」と
言い切る。
 かたや西荻早苗(北乃)は、剣道は好きだが、楽しむだけで良い、
別に勝たなくても、という性格。
 こんな2人が中学生の大会で激突、何とまぐれで早苗が勝ってしまう。
非常にショックを受ける香織。

 高校の入学の日、といっても中高一貫教育のため別段
新しい事は起きないのだが、早苗には起きてしまう。
何と香織が早苗の高校に入ってきたのだ。香織の目的は
ただ一つ。自分を倒した早苗にリベンジを果たす事。
それだけのために、剣道のエリート校の推薦入学を
辞退してきたのだ。

 始めから逃げ腰の早苗に香織がキレまくる。
だが不思議な事に二人は行動を共にし始める。
早苗は香織とともに、香織の父の道場で練習をするようになる。
香織は、早苗には強くなる可能性が大いにあると確信していた。
逆に、早苗は、良かれと思い今まで剣道ばかりの人生を送ってきた
香織に買物や遊びを教える。
 この交流はそれぞれに影響を及ぼし始める。

 今まで剣道一直線に生きてきた香織。そのため友達が
全くいない。香織にとって剣道は勝つためにあるもので
あって、好き嫌いの対象ではない。だが、ゆるく
剣道をやっていて、剣道だけでなく自由に遊んでいる早苗と
出会い、自分にとって剣道とは何か?剣道を続けている事に
意味があるのか?と激しく迷い始める。

 一方の早苗にも変化が出始める。早苗は負けないように
剣道をして楽しむのがモットーだった。それは、
ビジネスという勝負の場でけちょんけちょんに負けた父を
目の当たりにしたからだった。父のように一つの勝負に熱中して
ボロボロになるよりかは、いつでも逃げ道を作っておきたい
というのが早苗の本音だった。
 しかし、勝ち負けにこだわる香織に出会い、
早苗の才能を開花させるためには勝ちに行かねばならないと
香織からも周りの他の人間からも言われるようになると、
今まで楽しかったはずの
剣道がいつの間には全然楽しいものではなくなっていた。

 理由は違うが、二人とも剣道から目を背け出した。
 二人とも剣道に対する心が折れてしまったのだ。
 そして、接近したはずの二人の間にも
不穏な空気が流れ始める。

 二人を見ていて拙者の浪人生時代を思い出した。
勉強を共にし、遊びも共にした仲間がいたが、
拙者は極端に成績が悪くなると、すぐに心が折れて
彼らと会いたくなくなった。
浪人生という決して喜ばれない存在、受験という
逃げ場のない世界に閉じ込められ息が詰まりそうだった。
ただでさえそんなパンパンな状況だったところに
成績不振というダメージを受け、何もかも投げ出したい
気持ちになった。

 主人公の二人も、剣道という逃げ場のない世界に
閉じ込められ必死にもがいているように見えた。
逃げ道、行き先が分からない迷路の中で必死に
もがき続けて、やがて心が折れそうになっていた。

 拙者の場合は、窮地を救ってくれたのは、
会いたくないと思っていた仲間だった。
 仲間たちの励ましや慰めによって、折れた心が
序序にではあるが再生されていった。
 この時、あらためて仲間たちの有難さを思い知らされた。

 果たして二人は、このまま剣道を続ける事ができるのか?
そして溝が深まった二人の関係は、どうなってしまうのか?

二人の折れた心を再生させる特効薬は、凄く身近にあり、
効き目が抜群であった、

(終わり)
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2010年04月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930