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2010年01月16日23:29

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蜜のように甘く、胆汁のように苦く。(再掲載)

散乱する遺体 救い待つハイチ
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1079383&media_id=4

私がハイチという国を初めて知ったのは、多くの人がそうであるようにゾンビを通してであった。
死人がよみがえって歩き出す・・・
「サンゲリア」とか「ゾンゲリア」、「ゾンビ」とゾンビ映画は決定的なイメージを植え付けたものだが、幼い私は母方の田舎で祈祷の胡散臭さを経験していたので、妖術によって死人がよみがえるのは映画のなかだけだと確信していた。
それならば、ハイチから生まれ出たゾンビとは、一体どういう経緯を経て「そうなってしまうのだろうか?」

その答えは、1988年に草思社から発行された、ウェイド・デイヴィスの著作「蛇と虹 ゾンビの謎に挑む」にあった。
ゾンビが生まれるまでの過程を科学的に解き明かした素晴らしい人類学のレポートなのだが、著者はハイチという常に政情不安定な闇に踏み込みすぎて何度も危ない目にあっている。

ハイチの伝説的な独裁者といえば、元医者という肩書きゆえに「パパ・ドク」と呼ばれたフランソワ・デュバリエだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AF%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%A8

彼は医学(科学)と宗教(土着信仰、即ちブードゥー教)が人心を支配する元と考え、その巧みな恐怖政治ぶりはいまだに世界最悪とされている。

デイヴィスの著作、デュバリエの知識を仕入れたところで、映画「ゾンビ伝説」を観た。

フォト


http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=13358



デイヴィスの著作のベストセラーぶりに触発されて映画化されたものだが、内容とは全くかけ離れたホラー映画風味になってしまっているのが噴飯ものであった(しかも監督が「エルム街の悪夢」のウェス・クレイヴン)。
でも、ゾンビの秘薬をゴム手袋をはめた手のひらの上に乗せて相手の顔面に吹き付けるとか、ブードゥー教の儀式は見た目でそれらしかった。

良くも悪くも、ハイチの闇の部分を見事に映像化したのは、この映画だけである。ハイチ大地震でハイチという国に興味を持ったら是非観賞を。

原作の方で、デイヴィスにハイチの男がこう囁くシーンが印象的だった。

「我々は蜜のように甘くも、胆汁のように苦くもなれるんだ」

これは国家として闇を内包している国ならば、どこでも通用する「心理戦術」であろう。
そうやって相手の心の隙をついて思い通りに操るのだ。

従って。

心弱き者は大地震という災難でさらに闇に支配されていくだろう。
ハイチ人に限らず、横流しされると分かっても、せっせと救援物資を送ったりする良心的な人々も思考が仮死状態という意味でゾンビとして呪われているのである。

ちなみに私は23歳の時、海外ロケでポルトープランスを訪れる機会があったが、一見して、戦後の闇市を思わせる異様な熱気、活気に思わずむせかえったものだ。
今回の大地震で、またハイチは闇市的エネルギーの坩堝と化すだろう、いい意味でも悪い意味でも・・・
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