大正15年から昭和9年までの短い間、小諸〜島川原(東御市)7.4kmを結ぶ鉄道があった。布引電鉄。
布引観音の参拝客と、終点に建設予定の発電所への物資輸送をあてこんで開業したが、発電所の完成後は乗客もまばらになり、始終空=しじゅうから→小鳥電車と呼ばれていたそうだ。
次第に経営が成り立たなくなり、皮肉にも電力会社から送電をストップされた事でわずか9年で廃線を余儀なくされたのだ。
廃止時の昭和9年といえば、あの草軽電鉄でさえやっと全線開通したばかりの時代の話だ。遺構は現在でも存在するのだろうか?
小諸から程近い千曲川の川縁に、それは残っていた。
よく見ると奥には橋の基部となっていた擁壁も覗いている。
鉄橋はここから右カーブを描きながら、今いる県道に取り付いていた。
その部分もしっかり石積みが残っている。
川淵を良く見ると横倒しになって埋もれかけた橋脚がもう一本あった。
廃止から75年が過ぎた現地は今でも閑散としている。
小諸市街地から車で10分程度の場所ではあるが、民家はほとんど無く、秘境ムードが漂っている。
それゆえ、この遺構も人知れず生き延びてこられたのだろう。
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