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2009年07月22日23:53

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海外怪奇小説をマンガで読もう。 ��

今日は平日で比較的ラクだった。
それをいいことに、某出版社勤務の友人が私に相談事があると浅草に来たので、一緒にとろろ飯を食べながら話を聞いた。

「今さ、文学作品をマンガで読もうってのあるじゃない。あれ、何か読んだ?」
「ああ、まんがで読破シリーズってやつだろ・・・とりあえず『ドグラ・マグラ』を立ち読みしてみたけどさ・・・一瞬で戻しちまったぜ」
「それは何で?つまんなかったから?」
「つまんない以前に、原作への冒涜って感じたからさ・・・あんなヌルイ絵でああいう作品を語ろうってえのは、おっそろしいくれえに致命的だあな」
「じゃあ、集英社が出しているアレは?」
「うん、アレもねえ・・・企画倒れだよなぁ、ハッキリ言って」

註)アレとは、ジャンプ系の漫画家たちが表紙イラストを描くという企画である。

一番衝撃的なのがコレ。

フォト


「そう言うだろうと思ってたよ、それでね、もう十五年も前になるけど、君はマイナーな怪奇小説を怪奇漫画家たちの手でコミック化させたらどうかという企画を書いてきたことあったじゃない。それを思い出したんだ」
「でもあれは・・・おまえさんがボツにしたじゃねえか。売れる見込みねえからって・・・」
「売れないよ、今だって。マニアックな自己満足だからね、結局・・・でも、今はこういう勘違い路線がますます本離れに拍車をかけているとなると、状況が変わってくるんだ」
「つまり、少しでもまっとうな興味を持たせるやつを・・・ってこったな?」
「そう。漫画家も今大変な時でね・・・くだらない文学作品だの、グリム童話だのをコミック化するよりは、全く読まれていない作品をコミック化した方が、漫画家も原作を出している版権側もやりがいがあるし、助かる・・・出版業界に貢献出来ると・・・」
「業界に貢献?それは間違いだね。ほんとうに貢献しなきゃいけねえのは、読者なんだよ・・・いかに興味を引き出すかってよりも、読者が心の底から楽しめるやつをってね・・・」
「うん。そこで、ひとつ突っ込んで企画を掘り下げて練ってくれない?」

そういうわけで。
一度はボツになった、「海外怪奇小説×コミック」のコラボ企画が私の前によみがえったわけである。
これが通るのは、友人の(上司のゴーサインをもらうための)説得力にかかるわけだが、心の底から海外怪奇小説を愛する私としては、あえてゴーサインが出ないような、不可能クラスの誇大妄想を起こしてみることにした。

大体、読みたきゃマンガじゃなく、オリジナルを読め!!というのが私の本音であって、十五年前にコラボを言い出したのは、単に、漫画家が挿絵を描くとしたらどの作品に誰が合うかというのから発展しただけである。

まずはぶんか社の「ホラーM」から。

西岡兄妹先生。

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西岡先生の作品とは元々ガロで出会っていて、その独特な画風が醸し出す得体の知れ無さはクセになるので、私はずっとファンをやっている。

西岡先生が描く、「上段寝台」。

http://www.online-literature.com/marion-crawford/3869/

コレが原文で、我が国では早くから岡本綺堂が世界でいちばん怖い話として紹介していた。
客船の二段式の寝台の上段に、溺れ死んだ男の幽霊が舞い戻るという怪談で、ロアルド・ダールをはじめとした面々もアンソロジーによく加えている。
個人的には、西岡先生描く亡霊よりも、真鍮の匂いが漂う客船の内部風景の淋しさを見てみたい。
邦訳は、あちこちから色々出ているが、河出文庫から出ている「世界怪談名作集」がオススメ。

http://www.amazon.co.jp/dp/4309462235

次は、三家本礼先生。

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初めて「ゾンビ屋れい子」を読んだ時、私はその絵柄からソウルフル、パワフルさをビンビン感じて、一瞬で虜になり、新作ごとに大騒ぎし続けている。

三家本礼先生描く、「パイロットたち」。

この作品については過去日記で紹介している。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=136694152&owner_id=1640816

怪奇小説というよりは、スリラーアクションなのだが、車と一体化した不具者たちというシチュエーションは、ものすごくデスメタル的で個人的に三家本先生の絵柄で見てみたい。

http://www.isfdb.org/cgi-bin/title.cgi?79747

邦訳は絶版でアマゾンだと出品者からしか買えないが、私の知っている古本屋にはいくらでも置いてある。

http://www.amazon.co.jp/dp/4594009344

最後に、巨匠、日野日出志先生。

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日野先生描く、「イグの呪い」。

ゼリア・ビショップの「イグの呪い」は、ほんとうにグロテスクな話だけれども、他のクトゥルー神話作家たちが描く仰々しいシチュエーションより、人間自体の本質を深く鋭くえぐったという意味で、吐き気がするくらいに、遙かにグロテスクな作品になっている。

日野先生の絵による精神病院に幽閉された“あれ”を想像するだけでニヤリ。

邦訳はココに収録されている。

http://www.amazon.co.jp/dp/4915333647

とりあえずこれらが頭にあるわけだが、現実的には版権の問題も大きいし、作家先生が必ずしも興味を持ってくれるとは限らないので、メジャーが打ち出している勘違い企画より、大変な労力を要求されることであろう。

でも。

作家先生の絵で、少しでも海外怪奇小説へ読者の興味が向いてくれれば、こんなに嬉しいことはないのは確かだし、まっとうな企画として打ち込みがいがあるのもまた確かである。
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